23話 ページ24
夢野「本当に小生が好きなんですね」
「そりゃ、ファンですし...。推し事してる時位しか、生きてると感じないので」
夢野「小生が幾らでも側に居ますから」
横から抱締める夢野さんの声は震えていた。夢野さん、貴方の好きな人はこんなに汚れているんだ。綺麗なままでいて欲しいんだ。夢野さんには...。私で汚したくないの。
「はは、凄いなぁ...」
夢野「ライブのDVDを見ている時のすみれさん、とっても良い笑顔でしたよ」
「私...、笑えて居たんですか?」
夢野「勿論。目が宝石のようにキラキラ輝いていました」
笑い方なんて忘れてしまっていた。ううん、教わって来なかった。演技でもない限り、笑う事も出来ない感情すらもない人形だと思っていた。けど、笑えていたんだ。気付いて居なかっただけで。
夢野「実は小生、今日泊まりたいと言ったのには訳があるんです」
「...訳?」
何のイベントでも整理券も配布されて居ないのに、推しに抱き締められている。この現状が恥ずかしくて心臓がばくばくしていて煩い。だけど、目を瞑って夢野さんの腕の中で静かに聞いた。
夢野「小生はすみれさんを守ると誓いました。けど、小説家の仕事が忙してくて、此処の所、全くすみれさんに会えて居なかった。中王区にも警察にも両親からも追われている貴方を一人ぼっちにした。だから、そのお詫びがしたかった」
「会えなかったのは、数日だけでしょう?」
夢野「それでも小生には長く感じたんです」
こんなにも私の事を思ってくれる人は初めてだ。けど、何で私なの?もっと違う人がいるじゃない。
「私なんかよりもっと良い人が、この世には沢山居ますよ?その人を守ってあげて下さい」
夢野「小生にとってそれが貴方なんです!初めて会った時からずっと、貴方に思いを寄せて居た」
「初めて会った時?」
思い出した。あの時だ...。高校生の時、初めて夢野さんの小説のサイン会に行った時。あれ以来、会って居なかった。
夢野「思い出しましたか?小生とすみれさんは一回会っているんです」
「良く私の顔を覚えて居ましたね。サイン会に来ていたお客さんは沢山いたのに」
なんて神対応。ファン1人1人の顔を覚えているだなんて。
夢野「流石に、ファンの方の顔までは覚えていませんよ」
「声に出てまたか?」
夢野「ええ、」
凄い事だなと、内心凄く嬉しかった。私なんかを覚えていてくれただなんて。
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藍原 葵(プロフ) - 赤苺さん» コメントありがとうございます!私も夢野さん推しなんですよ!!これからも投稿頑張ります。 (2021年8月31日 8時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
赤苺 - わー!!! 自分、夢野好きなので嬉しいです!ありがとうございます!!応援しています! (2021年8月30日 20時) (レス) id: b03a20a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
藍原 葵(プロフ) - 夏姫さん» ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです。更新頑張ります。! (2021年8月14日 13時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
夏姫(プロフ) - こう言った展開好き面白いのも混ざってるから更新頑張れ! (2021年8月14日 13時) (レス) id: 55e6785be2 (このIDを非表示/違反報告)
藍原 葵(プロフ) - うっちゃんさん» わー!!ありがとうございます。嬉しいです!! (2021年8月7日 17時) (レス) id: 1c76c161ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍原 葵 | 作成日時:2021年8月7日 16時