術式開示編〈5〉 ページ14
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私の攻撃はちっとも効かないばかりか、呪霊の攻撃を避けるのにも神経がやられる。
しかもこの呪霊の攻撃をモロに食らったら、ひとたまりもないことはその威力から簡単に想像がつく。
「因縁 トデモ 言ウベキカ」
「何よそれっ、はっ」
「厄災 ノ 血 ハ ココデ 断チ切ル」
いくら術式を発動させても埒が開かない。
今までの呪霊には呪力ごり押しの闘い方でどうにかしてきたが、この呪霊は呪力量で押せどすぐに回復する。
「く、うっ」
考えている隙を取られて、肩に、背中に、脚に、鋭い斬撃がいくつも入り、そこから血が流れているのが自分でも分かる。
反転術式を発動させても、こいつの攻撃をかわすために術式を発動させる呪力を補うのでもってかれる。
「そんなに、瀬川の家に、恨みがあるのっ」
「500年ダ 災厄使イ ニ 封印 サレテ」
呪霊は気味悪く微笑んだかと思えば、憤慨したかのように私のことを睨みつける。
その圧は、とてつもない。
「500年前 モ 赤イ目 ノ 女 ダッタ!」
「く、はっ」
呪霊に投げ捨てられ、ひゅっと肺が鳴る。
苦しい。
目の前には私に最後の一撃を下せることに、薄気味悪い表情を浮かべた呪霊。
あぁ、私ここで死んじゃうんだ。
今日誕生日なのに、呪霊の顔を最後に拝むなんてクソみたいな人生だ。
「忌マワシイ 血 ヨ 滅べ」
全てを悟って私は目を閉じた。
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ゆっきー(プロフ) - めっちゃ刺さります!続編楽しみにしてます! (2023年1月8日 11時) (レス) @page6 id: 1972a0d759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2023年1月8日 1時