俺じゃあかん？ (ページ23)

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「なんやねん」

そう言うと大吾はクリクリした目で見てくる。

「まあ、なんとなくそんな気はしてたけど....」
「そんな気？」
「のんちゃん、Aの事好きやろ？」
「うん......は？」
「やっぱりな」

一度も好きなど言ったことないのに、分かったようにうんうんと頷く大吾。

「ほんまに鈍感やわ...... 」

そして何かをボソッと言う。

「なんか言った？」
「いや、別に。のんちゃん彼女は？」
「おるわけ無いやん」
「やんな～」

そんな時、会場の入り口がザワザワし出す。

「なぁなぁ、あれ誰やろ」

大吾はそんな騒つく入り口方面を見ながら言った。
俺も大吾につられてそっちを見る。

「あ、」
「何、知り合い？」
「いや....... Aの彼氏.....」
「はぁぁぁあ！？彼氏！？」

騒つく人達の中心に居たのは、まだ写真でしか見た事の無かったAの彼氏だった。

「え、え、A彼氏おったん！？」
「おったんと言うか..... 先週付き合ったばっか」
「うわ、まじで」

あれは丁度1週間前の出来事やった。

いつも通りにバイトして、賄いを食べている時。
携帯がふるえて、画面を見れば彼女からのメッセージで。

A : 今日夜いらない

「俺は母親か」

なんて思いながら、賄いを食べて。
帰りはスーパーに寄って自分の分だけの食材を買って家に帰った。

晩御飯を食べて、シャワーも浴びて、大好きなバラエティを観ている時、玄関のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。
ふと時計を見れば23時半を指している。

「誰やねん.....」

なんて思いながら覗き窓から外を見ればそこには彼女の姿があった。

「A？」

ドアをゆっくり開ければ下を向いた彼女が立っている。

「どうしたん」

声を掛けると、彼女はゆっくり顔を上げる。
その顔は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「ねぇ、望......」

弱々しく口を開く彼女。

「夢じゃ無いよね.....」
「夢？夢ちゃうけど」
「やんな.... よかった.....」
「何、どうしたん。何あったん」
「ねぇ、泣きそう」
「は？」

そしてきっと我慢してたであろう涙を流す彼女。
俺はそっとその涙を拭く。

「取り敢えず入ったら」

玄関先で流れて、近所の人に見られて誤解されるのもなんだしと思い、彼女を家に入れる。

ソファーに座った彼女はまさかの事を言った。

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