俺じゃあかん？ (ページ20)

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私の両親はほとんど家に居なかった。
その代わりに私の側に居てくれた人がいる。

その人の名前は " 小瀧望 " 。

同い年で、やんちゃだけど何だかんだで優しい人。

そんな彼は、両親が亡くなった後もずっと私の側で支えてくれていた。

「ねぇ、小瀧ってさAの事好きよな？」

中学の時、仲良くしていた子からそう言われた。

「え、絶対ないって～」
「いや、絶対あるって」

よくそんな恋話的な事をしていた。
まあ、そんな事を言われたら自然に彼の事が気になる訳で、無意識に彼を目で追っていく。

そして気付けば彼を好きになっていた。

「A～帰るで～」

クラスが違えど、こうやって迎えに来てくれる。
そんな毎日。

その瞬間はなんだか恋する乙女みたいな感じで、世界が輝いて見えたような気がする。

だけどある日。

「望はさ、岩瀬と仲ええけどどう思っとん？」
「ん？A？」
「そうそう」
「んー、あれやな。妹やわな」

" 妹 "

偶々聞いてしまったその彼の言葉が、私の目を覚まさせ、気付かせた。

そうだ。私は家族なんだ。
家族の中の1人でしかないんだ。

別に養子に入った訳じゃない。
だけど、毎日一緒に過ごせばそうなるんだって。

だから私はその日なら想う事を辞めた。
いや、違う、
一生懸命その感情を忘れようとした。

そのタイミングで、クラスメイトで仲がいい男子に呼び出される。

「岩瀬、前からずっと好きやってん。やから俺と付き合ってくれへん？」

そう言ってくれた彼には申し訳ないが、私にとっては望への想いを忘れる良い機会かもしれないと思った。
だから私はこう答えた。

「私でよければ是非」

こうして私はクラスメイトで仲がいい男子と付き合った。
最初は誰にも話していなくても、自然に付き合ってる事が広まり始める。
その噂を聞いたのか、望も周りと同じように聞いてくる。

「お前、大吾と付き合っとるってまじ？」
「......ん、まじ」

彼目を見開いた。そして一瞬視線が落ちて、再び私を見た。

「そっか。よかったやん」

ねぇ、ホンマにそう思ってる？
私は望が好きなんやで？

そんな事を言える訳もなく、気付かれる訳もなく。
何だかんだで、彼とは高校も同じで2年まで付き合った。

そんな彼のお陰なんだろうか。
あんなに苦しかった想いもいつしか無くなって、私も彼が " 家族 " という意識へと変わったのだった。

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