過去の栄光を引き摺ってる奴はもう上に登れない奴だ ページ37
「ほら飲めA。今日は立場など気にせず飲むと始めに言ったではないか！」
「そうだけどお前はもうちょっと気にしろ！！」
何でこんなことになったのだろうか。
私はため息をつきながらどうとでもなれと酒を煽った。
ことの発端は仕事に疲れて居酒屋に寄ったこと。
攘夷浪士を逮捕するため町の一般人に紛れ込んでいた私は、何時も通りの制服ではなく非番時の着流しだった。
そして証拠を掴むと同時に一斉に突撃、無事に攘夷浪士は拘束され、任務終了となった私はせっかく私服なので飲んで帰ろうと思い近くの居酒屋によった。
「あ、すいませーん芋焼酎ロックで」
小ぢんまりとした趣のある居酒屋で、良い店を見つけたなと内心少しテンションが上がっていると、
「Aではないか」
隣りに座っていた客がわたしの名前を呼んだ。
訝しく思ってそちらを見ると「久しぶりだな！」と笑う桂の姿が。
………………。
「いや何してんのお前ェェェ！！」
「何って酒を」
「んなこたァ分かってんだよ！そうじゃなくて！自分の立場をちょっとは考えろ！」
「自分の立場……。あっそうだA、貴様も攘夷志士に＿」
「ならねぇぇぇ！！！」
言い合う私達を前に、居酒屋のおじさんは「はい、芋焼酎」と無遠慮に徳利を置くと、他の客の注文に行ってしまった。
私はため息をつき、やけくそで酒を飲む。
「あのねぇ。一応私は真選組の管理官だし、てめーは穏健派とは言えど攘夷志士。
私らが飲んでるのを見られたら不味いでしょ。」
「それは問題ない。この店の店長もここに来るお客も皆口が堅い。現に此処は俺たちの行きつけでもある。
一度ぐらい一緒に飲んでも誰も何も言うまいよ。」
「でもなぁ、」
「それにAは今、制服を着ていないだろう？」
「そうだけど、それがどうかしたか？」
桂は私に向かって、あの頃の悪戯を考えていたときのように子供っぽく笑った。
「今宵、ここに居るのは警察とテロリストではなくただの幼馴染み。」
「ただの桂小太郎と、ただの芹沢Aだ。」
私はフッと息を吐いた。
本当に、コイツは＿＿＿＿
「私お前のそういうとこ好きだわ」
「エ"ッ」
そして話は冒頭に戻る。
紅桜の一件で再会したとは言えど、中々話す機会も無く、久々にゆっくりと会話をした気がする。
酒は進み、桂も、酒に強い私もほろ酔い気分になってきた時だった。
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通行人N(プロフ) - 謬見さん» コメントありがとうございます(_ _;)毎週土曜日更新の予定です。Twitterで更新したらお知らせしていますので、ぜひそちらも✨これからも頑張りますのでまた感想をお聞かせ下さいね！ (2022年11月20日 16時) (
レス) @page17 id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
謬見(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました(*´꒳`*)更新待ってます！！ (2022年11月19日 21時) (レス) id: 9ecb800a6a (このIDを非表示/違反報告)
通行人N(プロフ) - 鬼魂さん» コメントありがとうございます(_ _;)そう言っていただけてとても嬉しいです✨これからも更新頑張りますので宜しくお願いします。 (2022年11月14日 15時) (レス) id: 39adec4ff4 (このIDを非表示/違反報告)
鬼魂 - とても面白いです！更新頑張って下さいｯ!楽しみに待ってます！！ (2022年11月13日 16時) (レス) id: ce3cc772d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：通行人N | 作成日時：2022年10月1日 10時
