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神威は少し興味を持ったようで、キョロキョロしている。そして、気になった商品を手に取った。
それに気づいたAが書かれた文字を読み上げる。
「�犧廼��瓩諭�神威にぴったりだ」
「そういうAが持ってるのは�狢膰�者�瓩�。そういうスキル欲しいの？」
「うーん、気にはなったけど、しっくりは来なくて。でも、神威が持ってるやつ見て何がしっくり来るかわかった」
そう言って、Aは神威の後ろの棚からTシャツを手に取った。広げて文字を見せる。
「じゃーん！」
「�犧納絖瓩�。確かにAは俺の知る中じゃ最弱だけども」
「ふふん、最強を決める戦いより最弱
ドヤ顔で宣言するA。開き直りこそ最強かもしれない。失う物のない強さかもしれない。が、あまりにも残念すぎる。
そして、Aは神威にこんな提案をする。
「面白いから二人で着て帰ろう。最強と最弱が並んで歩く絵面は絶対面白いよ」
流されるままに神威は試着室に押し込まれ、最強Tシャツに着替えた。
同じく試着室で着替えたAが出てきたので、神威が店員に話して会計する。
タグも切ってもらい、二人は身軽になった。
そして、店から出たAと神威を見た阿伏兎が一言。
「アンタ達はペアルックでも始めたのか？」
Aは急に恥ずかしくなって顔を赤くした。対応する言葉だから、そう解釈されてもおかしくない。気づいていればこんな選択はしなかった。
それでも、気分は晴れていた。やっぱり買い物は良い気晴らしである。
一方で神威は少し楽しそうに笑った。慌てるAを見るのが楽しいのか、はたまたペアルックを楽しんでいるのか。両方なのか。それは本人にしか分からない。
空を見上げると、日はどっぷり暮れていた。都会の夜は明るい。誰かの残業や繁華街の灯りが街を明るく照らしている。
「さすがの私も疲れた〜。もう夜だし、何か食べてからホテル戻ろ」
「賛成。さすがの俺も探す気力もないから綸榭が言ってたオススメの店に行こうか」
「やっと終わったのか……」
最強と最弱が話す後ろで、苦労人の呟きが夜の喧騒に消えた。
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作者名：夢宵桜 | 作者ホームページ：https://lit.link/dreamfairy
作成日時：2024年3月25日 21時
