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Aは急ぎ足で客室を出る。阿伏兎はその横に並んだ。
「阿伏兎、行こ」
「ったく、何があっても知らねェからな」
二人は躊躇いのない足取りでホテルを後にした。
⌘
雑居ビルの隙間にもたれて一息つく綸榭。シャワーの後、洗濯物が溜まって服が無かったので夜兎らしくチャイナ服を着ていた。せっかくなので傘も合わせた。この格好は久しぶりだ。
その横に、神威が姿を現した。友好的でない空気に気づいて、綸榭は声をかける。
「やっぱりキミはアタシのことを友達だとは思っていないようだね、Aと違って。戦意が隠せてないよ」
「アンタを殺すよう春雨から命じられててね。俺、春雨第七師団の団長やってるんだ」
「只者じゃないとは思ってたけど、そんな大物だとは思わないじゃん……春雨の第七師団っていったら�狃娜�の雷槍�瓩任靴隋�アタシを殺す理由を聞いても？」
「今朝アンタが殺した男、
「春雨ってそんな下っ端のことまで気にしてあげる組織だったんだ」
「どうやらそいつは有能な諜報員だったらしくてね、春雨にとっても痛手だったらしいよ」
「あちゃーやらかしたなァ。アタシは依頼を受けて仕事をしただけなんだけど、そうもいかないよねぇ」
「女に見境がなくて、セクハラ発言が多いから恨みも相当買ってたって聞いたさ。アンタは仕事でハズレを引いたようだね」
「アタシは知り合いの暗殺は引き受けない性分なんだけど、キミは違うみたいだ。強さで言ったらアタシの分が悪い。ということで、ここは逃げるね！」
「させないよ」
綸榭が勢いよくターンして走り出そうと思ったら、目の前に神威が立ちはだかった。さっきまで反対側にいたじゃないか。こいつ、いつの間に。彼女は退路を確保するために応戦を始めた。
それぞれの選択肢により運命が動き始める。その先に待つのは誰が望んだ未来か──。
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作者名：夢宵桜 | 作者ホームページ：https://lit.link/dreamfairy
作成日時：2024年3月25日 21時
