おじさん天使の憂鬱。3

VS　めがねアイドル。123 ページ26

Side ショウ


昨日は大丈夫だった？
放送見た？
今日も肌白いね。
ちゃんとご飯食べてる？

なんて。

カズのリアクションがないことも
全く気にする様子もなく
話しかけ続ける蓮。


雑誌の撮影スタジオで
よりによって
蓮の撮影は、隣のブースらしい。


また、何か仕掛けてくるつもりじゃないだろうな。

というか、あれだ。
もはや、こんなにスケジュールが蓮とかぶるなんて
俺のマネージメント能力に問題があるのか！？


カズの控室にまで
当然のように入り込んできそうな蓮を
どうにかまいて。

ドアを開けた時。



「カズくん！」


え？


撮影スタジオに、響くはずのない声。


「まー！？」


カズめがけて
弾丸のように飛んできた、まーくん。

どぉん！って
ぶつかるように、カズにしがみつく。

ど、どうなってるの！？

完全に、石化したみたいに動けなくなっている
カズごしに。

困ったように笑って手を上げる
サトシくんが見えた。


「ごめん、カズ。ショウくん。
　まーくんが、どうしても、落ち着かなくて..。」

「....。」

カズは、視線だけ、ちろりって
サトシくんを見ると
無言で、まーくんを抱き上げて、控室の奥の
ソファーに連れて行った。

普段なら、カズに抱っこでもされようもんなら
まーくんは、嬉しそうに大騒ぎになるのに。

今日は、おとなしく
ぎゅーっと、しがみついたまま。

カズは、まーくんごと
ごろんと、ソファーに横になった。

「カズくん..ごめ..なさい..。」

「なにが。」

「カズくんに、あいたかったの..。」

「..ふぅん..そう。」

カズのおなかに、顔を押し付けたまま
ちいさい、ちいさい声で、話す、まーくんを
寝かしつけるみたいに
カズは、ぽんぽんと、その背中を撫でている。



「子どものカン、みたいなもんなのかなぁ。」

「え？」

ぽしょっと、つぶやいたサトシくん。

「まーくんねぇ
　昨日のNINOの姿が、カズとかぶったみたい。

　朝起きた時には、カズはもう出かけてたでしょ？

　カズくん、大丈夫かなって
　泣き出しちゃって。」

「それって..。」

「いや、NINOがカズだとは
　気づいてないと思うけど。

　NINOの調子悪そうな姿に
　カズを重ねたみたい。」

どうにもならないから
まつじゅんは一人で現場に行ってもらって
やむをえず、ここに連れてきた、と。

「ごめんね。
　いい方法とは思えなかったんだけど
　ほかに、どうしたらいいか
　思いつかなくってさぁ。」

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