おじさん天使の憂鬱。3

VS　めがねアイドル。117 ページ20

Side ショウ


控え室まで送るよ、という蓮に
さわるなや！なんて
可愛げのないことを言いながら。

よれよれ、ふらふら
風が吹いたら、飛ばされそうに
疲れきっているカズは
蓮に肩を抱かれるようにして
控え室に歩き出す。



「櫻居さん、ちょっといいですか！」

2人を引きとめようとした矢先
局のスタッフさんに引き止められる。

「あーえっと..。」

「先ほどの収録の映像
　一緒に確認してもらっていいですか？」

カズが、スタッフさんの言葉に振り返る。

「ショウさん、お願いしていい？
　先に戻ってるね。」

「大丈夫ですよー
　俺が責任をもって、送り届けます！」

「いや、一人で戻れるから..
　そもそも、なんで付いてくるのよ..。」

「いいじゃん、いいじゃん。
　そういえば、葉宮
　1週間学校で顔見なかったじゃん？
　その間に、色々あってさー。」

..くっそー。

こんな、人目の多いところで
直接何かするとは、思っていないけど。

あんな怪しいやつ
本当なら、少しだって
カズに近づけたくない。


「櫻居さん？」

スタッフさんに促されて
一度出たスタジオに戻る。

「いやーでも、意外ですね。」

「何がです？」

「蓮さんって
　NINOさんと、ライバル！みたいに
　最近言われるじゃないですか。」

「そうみたいですね。」

「でも、なんか、本人たちは
　仲がいいんですねぇ。」

「..うちのNINOは
　ご存知のとおり
　老若男女問わないキャラなもんで。」

「ああーわかります。
　本当に、NINOさんって
　可愛いっていうか、愛らしいっていうか
　NINOさんを嫌いな人なんて
　いないですよねぇ。」

「ありがとうございます。」

でれでれと話す
NINO贔屓のスタッフさんには
申し訳ないが

その、蓮、が
怪しいんだってば！


いらいら、そわそわ、しながら
さっき収録した映像を確認する。

カズは、歌でも、演技でも
収録の終わったものの映像は
自分では、あまり見ないし、ジャッジしない。

そのへんの判断は、スタッフさんや
監督さんに任せるスタンスなんだけど。

今日のパフォーマンスも
ほぼ、ほぼ、いつもどおりのクオリティーだ。

収録中は、心配ばかりが先に立って
冷静に見られていない部分も
あったかもしれないけど。


今回の番組は
雑誌の発表に合わせて
収録の数時間後には編集されて放送という
珍しいスタイル。

今日は、早く帰って
家で放送を見られるかもな。

それに、この現場から
早く、カズを連れて帰りたい。

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