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「きもちーです、」
「ふふっ。それは良かったです」
藤ヶ谷さんの指先が好き。
繊細で。もっと触れて欲しいって求めたくなってしまうほどに。
こんな指先の持ち主に触れられたら、とろけちゃうんだろうなーと少しふしだらなことを考えてしまっていた自分の思考を振り払う。
「流しますね」
「お願いします」
至福の一時が終わる。
1ヶ月の中で一番幸せな時だった。
カット中のおしゃべりも幸せだけど。
やっぱりこうしてじっくり触れてもらえるこの瞬間が一番距離も近く感じるし幸せ。
藤ヶ谷さんはただの仕事なのにね。
色々なお客さんを夢中にさせちゃうんだろうな。
髪の雫を簡単に拭いてくれて
カットの席に戻るといつも頼んでるアイスコーヒーが丁度運ばれてきた。本当にいいお店だと思う。
運んできてくれたその女性スタッフに御礼を言うと女性スタッフも笑い返してくれる。
あぁ、こーいう子と藤ヶ谷さんは付き合ってるんだろうな、といつも思う
怖くて彼女の有無は聞いていない
俺も聞かれたことがないから
それだけで恋愛対象外なんだと勧告されているようだった。
話すことは専らテレビ番組、サッカー、音楽、漫画、お笑いのことが多い。仕事の話も振ってこない藤ヶ谷さんとの会話は学生時代に戻ったように単純に楽しかった。
「あ、そーいえば。僕、W杯の初日スポーツバー予約しちゃいました。」
「あ、そうなんですか」
「渋谷のKissって店のスタンディングを予約しました。まだテーブル席や着席ブロックも全て予約空いてるとのことでしたが。せっかくならスタンディングかなと」
「あー、そうなんですか」
どうしよう、どうしよう。
行きたい。その店なら有名だし、知ってる。
行きたい、行くって言わなきゃ。
俺も行こうと思ってたんですーって、普通に。
「いいですね、楽しそう」
・・・言えない。
イザとなると言えない。
だって、藤ヶ谷さんはお店の仲間だったり、友だちと行くのに。
そこに俺が行くって言っても困らせるだけだ。
浮くだけだし。藤ヶ谷さんが他の人と仲良く話してるのを見たくない。きっと居場所なんてない。
リップサービスで以前、一緒に行きましょうって言ってくれたことを鵜呑みにして、ガッツいたらココにさえ通えなくなる。
それ以上、藤ヶ谷さんも俺もこの話を膨らませることはなかった。自然とお笑いのお話にシフトしていった。
・・・チキンだな、自分。
誘おうと思って、この日に予約していたのに。
自分が少し嫌になる。
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まいまい(プロフ) - ドキドキしすぎて私も好きな人の都合のいい相手になった気分です…宏光の気持ちがわかりすぎて切ない…ファーストも読みます!、 (2021年6月7日 8時) (レス) id: f1bcc9ce7b (このIDを非表示/違反報告)
R.Y kano(プロフ) - コメント失礼致します(_ _)セカンドとても面白かったです!ファーストも読みたいのですが作者様のページを見ても載ってなくて、どこから探せばいいですかね(--;) (2019年2月9日 9時) (レス) id: bbd6053d3d (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» 私も詳しくなくて、そうしていただけるとありがたいです (2018年8月11日 15時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - りなさん» りなさん 遅れてすみません!設定で年齢のところだとは思うのですが、初心者で詳しくなくすみません、もしよければメッセージでリンクなどお送りしましょうか?(ノ´▽`)ノ (2018年8月11日 9時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - ももさん» お返事ありがとうございます。どうやったら見られるようになるかおわかりになりませんか?セカンドとてもおもしろかったのでファーストも見させて頂きたいです。 (2018年8月10日 1時) (レス) id: cd6021df3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年6月2日 22時