セカンド

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"もうすぐ宏光誕生日じゃない？"
"何で知って！？"
"カルテで見た"
"あれ、太輔って誕生日いつ？"
"6月だよ"
"終わってる･･･嘘、祝いたかった"
"まぁ、宏光からは甘い夜を頂きましたから"
"え？"
"初めて抱いた夜の一週間後ぐらいが誕生日だったから"
"そんな･･･！言ってよ！"
"俺らさ、結構店員とお客様として逢ってるのに誕生日さえ知らなかったんだな"
"･･･怖くて聞けなかったの"



会話が思い出される
誕生日を知っていてくれた
それが何より嬉しくて


職務中も気を抜くとニヤついてしまっていた



"誕生日、欲しいものある？"
"え、ないよ。"
"それ一番困るんだけど。"
"だって本当にないから。いつも太輔には幸せを貰ってるし"
"またお前はそーいうことを･･･"
"ごめん"
"いや、本当に可愛いーよね。宏光は。ワガママ言わないし"



･･･彼女はワガママ言うの？
ワガママ言えるのは自信があるからで彼女の特権だから。だからきっと言えるんだろう…
俺はいい子･･･都合のいい子じゃないとそばにいてもらえないから



"宏光、本当に欲しいものないの？"
"･･････"


本当はある


それは


"太輔との時間がほしい"


太輔との時間


ワガママ言ってもいい？
一年に一回のワガママなら許してくれる？
来年は祝ってもらえない可能性のが高い自分の誕生日。
今年ぐらいはワガママ言ってもいい･･･？



"俺との時間･･･？"
"お互いスマホの電源を切って一日中一緒にいたい。映画行ったり、ウィンドーショッピングしたり"
"･･･それだけでいいの？"
"それが何よりのプレゼントだよ。太輔の美容院が休みの月曜日に俺も合わせて休みとるから"
"･･･わかった。じゃあ、しよっか？デート"


そして、今日がそのデートの日
今年はうまいこと祝日とかぶりそれが月曜日


誕生日当日


街へと出かけ定番のオブジェの前で待ち合わせ
好きな人との数日前のやりとりを思い出しながら待っていた


「お待たせ」


爽やかにやってきた好きな人
シャツにデニムというシンプルな服装がこんなに似合う人を俺は知らない



「今日も宏光可愛いね」


そんな自分はまた普段では着ないような可愛いめの服を纏っていた
世にいうジェンダーレス男子的な？
普段はTシャツとデニムが多いのに。
あとはジャージだったりハーフパンツだったり
本当に適当なのに



「お誕生日おめでとう」
「サンキュ」


照れて真っ直ぐ顔が見えない
初めてだった
2人でホテルとウチ以外で会うことが

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