セカンド

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後先考えない性格だと周りから言われる
後先考えて動けなくなるのが嫌だから
その意見に否を唱えたことはなかった

それでも、やっぱり考えた方がよかったかもしれないと思う現実に直面することは何度かあった。


そして今その場面に直面している


美容院の前まで着たはいいけど、
扉を開けるのを躊躇してしまう
やっぱり怖い


今日の服も可愛く見せるために
完璧な筈だ。


可愛いキレイめなブルーグリーンのサマーニットにロング丈のTシャツ。そして黒のスキニーパンツ。


ラフだけどキチッとしてる印象を与えられるはず。
･･･って、今更頑張っても仕方ないんだけど。


一夜限りの関係ということはもう2度目はないってことなんだから。どこまでも諦めが悪い自分に反吐が出る



そんな風に葛藤していると、
急に入口のドアが開いた。びっくりして咄嗟に手を引っ込めるとドアの先には藤ヶ谷さんがいた。


「いらっしゃいませ。遅かったので、確認に参りました」



俺の行動など全て分かってるかのような口ぶり･･･
あぁ、俺って本当にわかりやすいんだなぁと少し恥ずかしくなる



「すみません」


お詫びをする言葉しか出てこなくて



「いえ。お待ちしておりました。」



何事も無かったかのように藤ヶ谷さんは笑うんだ


そして、店へと入るように促され店へと踏み入れる



行ったことないけど、キャバクラやホストに通う人の気持ちがわかる気がする
疑似恋愛をしているよう。
大切にされていると錯覚を起こしそうになる



･･･とりあえず、今日は襟足はあまり切らないようにしよう。
席に着くとふと横尾さんのことを思い出した。



「今日はいかがされますか？」
「とりあえず、襟足はあまり切らないようにして頂いてもいいですか？それに合わせてカットしていてだけると助かります」
「かしこまりました。珍しいですね？」
「あ、いえ。何となく…」
「どなたかのご要望ですか？」
「･･････あ、いえ。あ、はい。同僚に」
「･･･そうでしたか。かしこまりました」



横尾さんは上司だけど、割と同僚と纏めていってしまう。それは横尾さん自身が望んでいたことだった


俺とは対等でいたい、と。
歳は離れてるのに
そんなフランクのところは本当に横尾さんの好きなところでもあった


自分に自信があるからこそ出来ることだと思う
なめられる可能性だってあるのに
横尾さんは仕事が本当にできるから
なめることなんてありえないけど

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