セカンド

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「すみません、北山さん。今戸惑っています、」
「･･･はい」
「それは」
「恋愛対象として好き、ってことです」
「･･･そうですよね」


フラフラする頭。気持ち。
ゆらゆらする頭。気持ち。



「･･･ありがとうございます。でも、すみません。彼女が」


その先を聞きたくない。
聞きたくない。耳を塞ぎたくなる。
遮りたくなる


「彼女がいてもいいです、」


何を言い出すか自分でも分からない


「え？」


口が勝手に動き出す


「好きになってくれなくてもいいです」


涙が止まらなくて



「二番目でも、三番目でも・・何番目でもいいですから」



自分は誰かの一番になれるだなんて思わないから
もう、一番になりたいだなんて、そんな身の程知らずなことは言わない。



「好きになってほしいだなんて贅沢言いませんから…」



そんな調子のいいこと思わないから



「抱いてもらえませんか？」



だから、抱いて欲しい。


気持ちよくさせてほしいだなんてそんな贅沢言わない。
俺が藤ヶ谷さんを気持ちよくさせてみせるから。


処理の道具として扱ってくれていいから。



「･･･藤ヶ谷さんに気持ちよくなってもらえるよう頑張りますから、だから･･･」
「･････････」
「一度だけ.....」



思い出がほしい。
夢を見たい、最後にするから
忘れるから･･･



「抱いてください。そしたらこの想い諦めます」


ボロボロ涙が溢れ出し、
その涙を藤ヶ谷さんは心配そうな顔をして、指で拭ってくれた。
困ったような顔をして眉を下げて


いつもシャンプーの時に触れてくれる優しい指先で
俺の唇をなぞる。
そして、そのまま藤ヶ谷さんの顔が近づいてくる。


え･･･？
ふわふわした頭の中で警告音が響く


涙でしょっぱくなっていた唇は藤ヶ谷さんのそれで塞がられた。



「･･･二番目でもいいのなら...」



触れただけのキスが深くなる。
絡み合う舌


痺れる脳


もう、何も考えられなかった


ただただ藤ヶ谷さんに溺れていった


藤ヶ谷さんの持っていたペットボトルの水は藤ヶ谷さんの手から滑り落ち、コロコロと出入り口のドア付近まで転がっていくのを横目で見た。


「･･･ん、っ」


唾液が絡み合うー･･･


鍵が閉まっていて良かった


藤ヶ谷さんが欲しい


もう、この場所で、でもいい。


どうせ大切にされないのだから


「･･･場所、変えませんか？」


そんなことを頭の隅で考えていたら
藤ヶ谷さんがそう耳元で囁いた。

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