怒り ページ19
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Aさんがここまで怒ってるのを初めて見た。
怒ってるんじゃないかもしれない。
最初はにこやかに一人一人に話してくれたけど、
あの時の話になると苦しそうにしてそれからキレた。
青い瞳が映えているのは白ではなく紅。
ここまで酷いのは初めて見た。
まだ言葉を言おうと口を開いたAさんの
肩を無理やり引いたのはロシア人の男性。
引き離されたAさんはゼニトのチームメイトに引き渡された。
そして男性はロシア語で話した
「ミーシャのこと、あんたらが傷つけたの?」
すごい気迫だった。
通訳が俺たちに急いでつたえる。
日本語に訳さなくてもだいたいどんなことを言ってるのか想像できた。
「もうさ、ミーシャのこと、Aのこと、放ってもらっていい?
俺さ、もうあんなに苦しんで傷ついてボロボロのミーシャ見たくないんだよ。
日本から帰ってきて強がって笑ってるところも
ロシアを歩きながら痛みを必死に隠してるところも
日本での練習が影響で怪我をしたところもっ
全然全部、日本のせいなんだよ!
痛みも感じなくなるくらい傷ついたんだ、ミーシャは。」
Aさんが日本を離れてからのこと初めて知った。
誰も何も言わないけど、当時を知る人はみんな、
あの頃のこと考えてると思う。
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千尋 - 続き楽しみです! (2020年1月24日 13時) (レス) id: 6a8c623822 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠杏 | 作成日時:2020年1月19日 21時