愛してるよ橙くん４ (ページ9)

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＊憧憬　abkj ページ9

緑side

人はそれぞれ。

同じ人間なんていない。

特に、俺たちの立場は、個性が重要で。

俺も何か個性がほしくて、一生懸命勉強した。

そのかいあって、少しずつ得意分野を生かした仕事がもらえるようになってきている。

これは、すごく自信に繋がって。

苦手なこともあるけど、長所に誇りを持とうって思うようになった。

だから、周りの人のことをすごく羨ましいなんて、そんなに思わなくなったのに。

今はいるんだよね、近くに。

俺では到底敵わない魅力を持つ存在が。

「俺は、康二が羨ましいよ。すごく。」

橙「え？阿部ちゃん、何言っとるん？
　俺なんて、全然普通の人やで。」

「普通じゃない。たくさんいいところがある。」

橙「や、全然やって。」

「じゃ、言うよ？誰にでも平等なところでしょ？
　それに、さりげなく周りを立てられる
　ところ。現状に満足しないところ。努力を
　公にしないところ。皆を笑顔にして、」

橙「わぁあ！！もぉええですっ///」

「まだあるんだけど。」

橙「し、心臓がもたんから…」

「まぁいいや、そういうの全部俺にはないもの
　ばかりだから。」

橙「阿部ちゃんやって、俺よりいっぱい
　持っとるやん！」

「ふふっ、ありがとう。まぁ、俺の場合は
　努力すれば誰でも手に入るものばかりなん
　だけどね。」

そう、頑張れば誰にでも……。
特別な、訳じゃない。

橙「………その努力ができるから、すごいんよ。」

「え？」

橙「簡単に言うとるけど、そのために努力を
　し続けることが、大変なんよ。頑張るの
　ってしんどいんよ。それができるとこが
　阿部ちゃんのすごいとこちゃうの？」

考えてもいなかった。
努力するのは、当たり前だから。
皆、やってることだから。

でも、それがすごいって、言ってくれる。

「………ありがと。なんか、自信もてそう。」

橙「もってもって！俺が保証する！」

こんな風に純粋に人を認めて、称えられるところも。

やっぱり魅力で溢れている。

羨ましいけど、嫌だとかは思わなくて。

愛しいなって…………そう、思うんだ。

「康二。目、閉じて？」

橙「ん？こう？」

素直に目を閉じた君の、

まぶたに思いをのせて。

ﾁｭｯ

橙「えっ！？……あべ、ちゃ…」

「……好きだよ。」

康二。

君は自分なんか大したことないって言うけど、

俺にとってはすごく、

憧れの、存在なんだ。