愛してるよ橙くん４ (ページ23)

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青side

"康二は小さい頃から俺や他のやつらとバスケ
しとったから、実力は結構なもんやと思う。

小学校でミニバス始めてから、あいつは、
いつもエースやった。

もちろん、高校に入っても同じや。K高に
いたんは……知っとるんやな。

名門校でも、実力は突出しとったよ。康二は
協調性もちゃんとあるから、独りよがりの
プレーもしないし。最初は皆認めてくれとっ
たな。

ただ、だんだんと、状況が変わってきた。
たまにいるやろ、上手いやつを妬むしょおも
ないやつらが。

名門校や。それなりのやつらが来とるし、皆
プライドが高かったんやろ。康二は孤立して
いった。

上手いやつに俺らの気持ちはわからない。

一緒にプレーしてると見下されているようだ。

俺らのこと、下手くそだと思ってるだろ。

お前と仲間でいるつもりはない。

名前を呼んでも、試合に出ても、存在しない
かのように、扱われた。

康二にボールを渡すやつは、誰もいなくなっ
た。それを見て、監督は、協調性のないやつは
いらんって、康二を見捨てた。

まだまだ子どもやろ？康二は助けを求める術を
知らんかった。せやから、限界が来たんよ。

体が、人を……大好きなバスケを拒否し始めた。
過呼吸、手足の震え、高熱、眩暈、食欲不振…
おかしくなったんや、体も、心も。

それで、少しでもその環境から離れさせよう
ってことで、こっちに来させた。最初は、
びびったわ。俺の知ってる康二と全然ちゃう
かったから。

今はこっちに出てきとる知り合いに声かけて、
少しずつ、本来の康二に戻そうとしてるとこ。

あれでもだいぶ良くなったんよ。高校も行き
始めたし、バスケ部に入りたいなんて言った
ときは、涙が出たわ。

まぁ、まだ本来の実力出して１人になるのを
怖がっとるけど、勘弁したってや。俺も、
そこは無理させようとは思わん。

俺が言えるのは、こんなとこやな。"

言葉が、出なかった。
そんなに、重いものを背負っていたなんて。

龍「まだ遠慮はしとると思うけど、君らと
　バスケすんのは、楽しいらしいから。
　様子、見たってや。」

黒「え、楽しいって…」

龍「うん、あいつが言うとった。せやから、
　ちょっと頼むわ。」

緑「……はい。」

紫「わかりました。」

嬉しかった。
楽しいって思ってくれてたことが。

もっと楽しいんだぞって、
安心していいんだぞって、

そう、言ってやりたかった。