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居ても立っても居られなくなり
私はリュックを投げ捨て彼女を追いかけた
校舎を出てすぐ、彼女を捉えれば
「睦月！」
無意識にそう叫び彼女を引き止め腕を掴む
それを振り払われそうになり
必死に掴み続けた
「やめてや！離して！！」
「ごめん睦月、今は無理」
そう言えば、彼女は顔を歪めて私を見る
その表情は憎しみや恨みなどではない
悲しそうに、寂しそうに
今にも泣き出してしまいそうな目で私を見つめていた
「睦月…」
「なんで構うねん！
もう私のことなんて嫌いやろ！！」
嫌いじゃない
少し恨みそうになったこともあったけど
突き放そうとも嫌おうとも思ったことはない
むしろそれができた方が楽だったのだから
「嫌いじゃない」
「嘘や！！」
未だ暴れる彼女を
必死に抱き締める
それでもなかなか落ち着かない彼女は
私を突き飛ばして校門を飛び出して行った
教科書はその場に散らばってしまっている
そんなことも御構い無しに
私は彼女の後を追いかけた
どんどん先に行ってしまう彼女に
右脚のハンデを抱えた私はなかなか追いつけない
ただ必死に、彼女に食らいついていくことしかできなかった
痛み出す右脚も
忘れるように頭を振る
彼女も何度か足がもつれ、うまく走ることができなくなっていた
それでも走ることをやめない彼女は
一体どこに向かっているのだろう
しばらくすると、海が見えてきた
私たちがいつもいる場所とはもう少し離れた
砂浜がある海だった
この場所に来るのは初めてだった
普段は防波堤や港からしか見ない海は
いつもより近い場所にあった
その中に躊躇いもせず入っていく睦月
「睦月！危ないよ！」
そう声をかけても彼女は足を止めない
ふらつく足元に耐え
全てから逃げるように進んでいく彼女に
私もそこにいくしかなかった
すでに疲れ切っている彼女は
だんだんと先へ進む速度も遅くなっていく
やっと彼女に追いつくと
もう進めないように腕を掴んで引き止める
「離してや！！」
「バカ！それ以上行ったら取り返しつかなくなるよ！！」
もうすでに水位は私たちの足を超えていた
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ちょぽん(プロフ) - 作品夢中になって読んでしまいました。すごくドキドキして、本当に面白かったです。 (2018年11月7日 17時) (
レス) id: 15a580132a (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - はじめまして。とても素敵なお話で感動しました！ (2018年11月1日 2時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - はじめまして！長編完結まで一気読みしてしまいました。島の風景がはっきり想像できるような情景描写や、主人公達の細やかな心理描写に胸が打たれました。AnotherStory楽しみにしています！！ (2018年10月27日 19時) (レス) id: ed4a5c8a01 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 長くなりましたが、こんなにも素晴らしい作品を読むことが出来て、公開して頂けて嬉しいです！長文失礼致しました。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 是非とも実写で見たいと思う思わせてくれる作品だと思いました。クリアに想像できる風景。こちらがお話に引きずり込まれるような描写。本当に言葉が出てこないほど素敵な作品です。言葉にするのが難しいですが、今までサイトや本を読んだ中で一番の作品です。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：民 | 作成日時：2018年10月24日 17時
