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あっくんの無事がわかれば
みんな肩の力を抜いてリラックスし始めた
次になった電話にしげが出れば
それは淳太くんからだったようで
「なんでお前やねん！」
と言って受話器を置いてしまった
もう一度かかってきた淳太くんからの電話は私が取り
「心配してるのになんでキレられんねん」
という淳太くんの愚痴に延々と付き合わされた
この家にしげがいるといることが
あまりにも久しぶりすぎて
なんだか少し違和感を感じてしまう
「そういえば、睦月ちゃんは？」
そう兄が問えば
「家帰ったで」
とのんちゃんが答える
彼女の顔が浮かぶ
そういえば一人暮らしだと言っていた
この嵐の中、1人で大丈夫だろうか
それは私だけではなくみんなが思っていたことで
口々に心配するみんなに
しげだけは何も言わなかった
翌日、目が覚め居間へ行くと
みんなが雑魚寝していた
前にもこんなことがあったな、と
懐かしさを感じていると
後ろから肩を叩かれた
「はよ」
「おはよ、しげ」
昨日の雨は止んだようだ
風もほとんど吹いていなかった
「行くか」
そう言って玄関に向かっていく彼に付いていく
私もそのつもりですでにコートを羽織っていた
2人で歩く海までの道
気づいたら手が繋がれていた
少しぎこちなく繋がれる左手は
前よりもしっかりと繋がれていた
やっと隣で歩けるようになった今
私たちの間に気まずい雰囲気は無くなっていた
防波堤に座り、海を眺める
私が一番好きな時間だ
「なあ、小瀧とどうなん？」
「は？」
いきなりの質問に彼を振り返っても
目線はこちらに向けられていない
「どうって、何もないけど」
「なんや、そっか」
質問の意図がわからず首を傾げても
なかなかこっちを見ようとしないので
私も海に視線を戻した
「なあ、言いたいこといっぱいあるんやけどさ
とりあえず、俺はお前の側におってもええんかな」
言いたいことは私もたくさんある
聞きたいことも
それでも今は、彼のその言葉に喜びを隠せずにいた
「しげが、いいなら」
素直になれない私の素っ気ない返事に
彼はあまり気にする様子もなく
繋がれた手の力を強めた
彼の中でどんな変化があったのかは分からない
おそらくいつか話してくれるだろう
なぜ急に冷たくなったのか
なぜ急に独りになりたがったのか
いろんな疑問は今は全て押し込んで
ただ彼との現在を大切に過ごす
およそ3ヶ月続いた私たちの沈黙は
ひとつの嵐によって終わりを告げた
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ちょぽん(プロフ) - 作品夢中になって読んでしまいました。すごくドキドキして、本当に面白かったです。 (2018年11月7日 17時) (
レス) id: 15a580132a (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - はじめまして。とても素敵なお話で感動しました！ (2018年11月1日 2時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - はじめまして！長編完結まで一気読みしてしまいました。島の風景がはっきり想像できるような情景描写や、主人公達の細やかな心理描写に胸が打たれました。AnotherStory楽しみにしています！！ (2018年10月27日 19時) (レス) id: ed4a5c8a01 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 長くなりましたが、こんなにも素晴らしい作品を読むことが出来て、公開して頂けて嬉しいです！長文失礼致しました。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 是非とも実写で見たいと思う思わせてくれる作品だと思いました。クリアに想像できる風景。こちらがお話に引きずり込まれるような描写。本当に言葉が出てこないほど素敵な作品です。言葉にするのが難しいですが、今までサイトや本を読んだ中で一番の作品です。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：民 | 作成日時：2018年10月24日 17時
