内緒のキス、秘密の関係。*2 ～Kazunari.N～ (ページ9)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:300,968 hit

透明のピンクページ9

・

「最悪なんだけど」

・

朝起きて

無駄に広いソファーで眠る二宮さんに

小さな声で挨拶して

・

顔を洗って

ストックしてあった歯ブラシを

勝手におろして歯を磨きながら

体温を測って、嘆いた。

・

体温計は37.5℃

頑張り屋さんなら頑張って学校に行くんだろうけと

あたしは生憎違う。

・

歯磨きしなから冷蔵庫を覗いて

昨日あの女の人が買ってきた食材を見て

適当に卵を焼くことを決めた時

・

「おはよ」

・

舌足らずな声がした

・

「ん」

「お前本当に寝た？

髪の毛超きれいなんだけど」

「ん」

・

対照的にボサボサな二宮さんは

飲みかけのペットボトルのお茶を出した

・

冷蔵庫をしめて、歯磨きを終わりにして

なんだか、ずっと前からここに居るような

ずっと前からこんな朝を送っていたかのような

そんな錯覚に陥りそうになる。

・

「お前歯ブラシ何色おろした？」

「透明のピンク」

「解りやすい色にしたな…」

「嫌がらせだから」

・

ベタなことして、あの女の人困らせたい

顔も名前も知らないけど。

・

卵を割って焼いて

炊いたまま手をつけなかったご飯を温めて…

なんてやっていたら

今まで1人でいた自分に戻れないような気がした

・