4 ページ25
「俺、何してんの・・・」
その場に座り込み頭を抱える。好き、て言えるはずなのに言えない自分に苛立ってしまう。それと同時にニカの名前を呟く。またその名前だけでも本当に好きなんだ。ニカの事、好き。たったその一言。なのに今の俺じゃ伝えられない。名前を呟いては溜息し楽屋に戻る事が出来なかった。戻るとニカがいる。絶対目線合わせられない。でもそろそろ戻らないと今度こそ心配されてここに来るはずだ。その前に戻ろう。聞かれたら"何もなかったです"て答えよう。楽屋に戻れば案の定、メンバーが心配していた。
「ごめんなさい」
席に座り横に座っていた宮田に「ここは・・・」と俺がいない間進んでいた所を教えて貰いながら打ち合わせをする。それが終わると荷物を持って楽屋を出て解散する。この後、オフの人と次の仕事があるメンバーにそれぞれ次の場所へと向かった。俺も帰ろう。と楽屋を出ようとした時、ニカに声をかけられた。
「千賀、帰ろう」
「うん。え・・・あ、うん」
ニカが先に出てその後を付いていく様に俺も楽屋を出る。現場を出てから俺から話が出来ずその様子に勘付いたのかニカから話を振ってくれたもののたどたどしい返事をしてしまう。ニカへの想いが強くなってるから・・・。気付けば駅に着いた。一緒に改札口を通って電車を待つ。
「俺、こっちだから」
「うん」
「じゃ、またね」
帰りの電車が違う為、ニカは二つ先のホームへと進もうとし、俺に手を振る。そして背中を向けエスカレーターに乗って帰って行った。さっきまでいた彼はどんどん離れて俺の前から完全に視界から消えてしまった。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 14時