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「千賀」
名前を呼ばれると同時に顔を上げられ顔を近付けられた。好きな顔が目の前にあって、かっこよすぎて目を閉じてしまった。
「何で目閉じるの？」
「だって･･･ニカの顔が、かっこよくて･･･ン、んぅっ！？」
目を開けた瞬間、唇に温かい感触。え･･･？キスされてるんですけど。何度も瞬きしてる中、唇が離れた。
「ニカ！何すんの！？」
「キスだけど」
「そんなの分かってる！」
「可愛いからしちゃった」
「はぁ･･･っ？」
まだ残る唇の感触。思わず手で抑えた。キスなんかするなんてずるい。しかもファーストキスなんて言えるわけがない。嬉しいのに恥ずかしさのあまり頭を抱えてしまった。
「ニカの馬鹿。好きでもない奴にキスするのおかしいと思わないの？」
思わず意地を張ってしまう。恥ずかしさと喜びを隠す為。でもニカはお見通しなのか俺を再び抱き寄せ頬に手を添えた。
「好きだからしたんだよ」
「え･･･？」
「まぁ、表に出さないから気付かないよな」
「何？どういう事？」
「だから、好きなんだって」
「好き･･･好きって何？」
「返事は後で聞くから」
何だか分からなくなってきた。俺がニカを好きなのは本当。ニカの好きて本当なのか分からない。頭の中でぐるぐると回る中、ニカがその場を離れ楽屋に戻ってしまった。声をかけようとしたのに口から出たのは言葉ではなく溜息。