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「そんな事したら余計、声が出なくなるよ」
「い・・・あっ、あっ・・・!」
「やめて・・・!」
その声はとても儚く切ない。泣いてる姿を見て俺は行動を辞めた。ニカが悲しんでいる。ごめんね・・・。と目で合図した。合図だけじゃ伝わらないはずなのにニカはそれに察ししたのか、「大丈夫だよ」と俺の手を握り締めた。俺はニカの顔を見て握られていた手を離しニカの頬に手を触れ涙を拭った。
「あ、ぁ・・・っ、あぁ・・・」
「無理に声を出さなくていいから」
ニカはずっと俺の手を握って面会終了時間まで居てくれた。ニカが帰った後、担当医師から状況を伝えられ普通は驚くはずだが驚くどころが納得する自分がいる。最近、昔のトラウマが脳裏に浮かび苦しんでいて睡眠や食事を摂取出来ず、仕事中でも捗らなくそのせいで精神が崩れ声が出づらくなっていた。同時に栄養失調で倒れてたのも体調不良の一つ。声に関しては歌手として大事な売り物。このまま声を失ってしまうのか。嫌だ。首に右手を添え祈る。無事に声が出ますように・・・。時間はかかってもいい。声が戻れば直ぐに報告する人は決まっているんだ。ずっと傍に居てくれたニカに。そしてこう言うんだ。


"ニカがいてくれたから俺はここまで来れたんだよ。ありがとう"


そしたらニカはまた泣くのかな。それとも笑顔になってくれるのかな。その思いながら白い天井を見つめそっと目を閉じた。

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作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 14時

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