2 ページ11
すると二階堂が泣き出した。
「何で、千賀がこんな目に会うんだよ…」
まるで自分を責めている様子。何で…。ニカのせいじゃないよ。自分が悪いの…。神様は何でこの病気を与えたの?声を失くそうとしたの?声が出ないまま顔を下に向け溢れる涙を見つめた。その様子を見た二階堂は泣きながら俺を抱き締めた。
「辛いよね…ごめんね」
また謝ってきた。だから二階堂のせいじゃないよ。声に出せないのが苛つく…。泣いている二階堂を落ち着かせるように背中を優しく撫でた。何だか母親になった気分。小さい頃、しょっちゅう泣いて母親が「大丈夫。大丈夫よ。健永なら乗り越えられるよ。母さん、健永の事守るから。だから心配しなくていいから」て言いながら背中を撫でてくれた。母親の愛情を受けここまで育ちました。数分、背中を撫でていると落ち着いたのか「千賀、ありがとう」て言ってくれた。その言葉が嬉しい。出しっぱなしのスケッチブックに言葉を綴った。
"また来てね"
たった一言だけど二階堂は「また来るよ」と言って病室を後にした。姿が見えなくなるくらいまで見届けたが何だか一気に寂しくなり涙が溢れた。寂しいのと声が出ない悔しさが一気に沸き上がってテーブルを一発叩いてしまった。自分でも想定外の事。その音に気付いたのか病室を通りかかった看護師が入ってきて「どうかしましたか?!」て言われテーブルの置きっぱなしのスケッチブックを開いて状況説明を書いた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 14時