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首を傾げてそう言う。その表情と仕草に心が揺らいだ。俺は「プリクラ撮りに行こうか」と言うと嬉しそうにして俺の手を掴んで走ってゲーセンに向かった。いざプリクラを撮ろうと中に入り藤ヶ谷は慣れた手つきで操作を始める。
「渉、撮るよ」
「あ、はい」
これも慣れた感じ。俺は藤ヶ谷に任せっぱなしでシャッターが下りる。二枚目を撮り三枚目に突入した時、藤ヶ谷が俺の頬にキスをした。突然の事に頭がフリーズし言葉が出なかった。
「吃驚した?」
「うん。急にキスするから」
「だってキスしたかったんだもん。渉の事、好きになっちゃった」
「え・・・?」
はい、また頭がフリーズ。俺の事好きになっちゃった?まだ知り合って数時間しか経ってないのに。プリクラを撮り終わりハサミでプリクラシールを二等分に切りながら藤ヶ谷に問いかけてみる。
「俺の事好きなの?」
「うん!だからキスしたの」
「まだ知り合ったばかりだよ?」
「そう。だけど前から好きだったの。所謂片想い。いつかはお話したいな、て思って今日思い切って声かけたの」
「そうなんだ。ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ。独りぼっち卒業」
「俺も卒業。藤ヶ谷が声をかけてくれなかったらずっと独りぼっちだよ」
「お互い卒業だね。ねぇ、渉」
「何?」
「好きだよ」
「ありがとう」
「渉は俺の事好き?」
「え、あ、急に言われると困るな」
「そうだよね、ごめん」
「大丈夫。改めて好きて言うよ」
「本当?!」
「うん」
「ありがとう。好きになって欲しいからアピールするね」
「程々にしないと俺、困るから」
「分かってる」
ゲーセンを出ると外は暗くなっていた。手を繋ぎアスファルトの上を歩きながら中学校時代の話になった。常に独りぼっちなのはお互い様。でも今日で卒業。ありがとう。藤ヶ谷の事好きになれるように努力します。
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作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 10時