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話し声が聞こえた。
"あれを用意してくれます?"
"あ!あれですね。待っててください。今お持ちしますから"
ぱた、ぱた。と走る音が聞こえ段々遠くなっていった。暫くすると再び走る音が聞こえ「ありがとうございます」と言う声。それは柚葉の声。何か貰ったんだに違いない。
「俊哉様。この襖開けて貰ってもいいですか?今、手が塞がってて…」
「今開けるね」
その場を立ち上がり襖を開けるとそこには大きなラベンダー色の袋を持った柚葉の姿。その袋を俺に渡してきた。
「お誕生日おめでとうございます」
「あ、覚えててくれてたんだね」
「勿論ですよ。大切なお客様なので」
「大切な人…?」
そう言うと柚葉の顔が赤くなりもぞもぞし始めた。視線は俺から下に向けまるで畳の中心を見つめている様子。
「柚葉…?」
「あ!いえ。なんでもありません。ただ吃驚しただけなので…」
きっと柚葉の中では俺は大切な人なんだ。俺も柚葉は大切な人。そんな柚葉からプレゼント貰えるなんて…。
「柚葉、プレゼントありがとう」
「いえ。早速ですが中身を確認してください」
「分かった」
丁寧に黄色のリボンを手解きラベンダー色の袋から取り出すと白を基調し花模様の刺繍が入った着物と文香が入っていた。
「私が選んだ着物です。俊哉様にはこれが一番似合ってるんじゃないかな、て思ってこちらの着物にしました」
「ありがとう。明日から着るね」
「ありがとうございます。こちらの文香は手作りしました」
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作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 16時