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「辛いよね・・・ごめんね」
「いいんです。私はただ憧れが強いだけなので・・・。それに千桜の事お話してくれてありがとうございます」
「今度お祝いの品持って千桜ちゃんのとこ行こうか」
「はい!でも千桜がいる場所が分からないんですけど横尾様、ご存知ですか?」
「知らない」
「どうするんですか?」
「宏光に聞いてみるわ」
「それってプライバシーの問題なので教えてくれないはずです。遊郭の世界では絶対に駄目なんです。でもお互い店を出れば関係なくなるはず。ですけど教えてもらえるんですかね?」
「それは分からない。駄目元で聞いてみる」
「お願いします。では私、戻りますね」
「和菓子、ありがとう」
「とんでもございません。では頑張ってくださいね。横尾様のお帰りをお待ちしております」
工房を出て、一歩踏み出した時、ふと空を見上げた。雲ひとつもない空色。桃萌が鈴蘭屋を出た日もこのような空だった。あの頃が懐かしい。千桜が新造になる前、あの時渡した簪は大切にしているだろうか。そんな考えをしながら屋敷に帰った。
夜7時頃、横尾が帰宅。既に手料理を終えていた桃萌はテーブルに並べていた。早速手を合わせ桃萌の手料理を食べ始めた。横尾は何度も「美味しい」と食べてくれて完食してくれた。その表情を見る度、桃萌がとって幸せだ。料理を食べ終わると横尾が食器を洗っている中、桃萌に声をかけた。

3→←ため息に好きを溶かして【横藤】



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作者名:みん | 作成日時:2024年2月1日 16時

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