涙で光るガラス (ページ9)

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家に着いて、まず家にある食材を確認する。

トマト缶あるし、トマトソース作ってパスタにしようかな。

パスタが嫌いならトマトスープ？

そもそもトマトが苦手だったらどうしよう。

ペペロンチーノ？カルボナーラ？

あ、でもパスタが苦手だったら…

海斗くんの食の好みを聞いていなかったせいで堂々巡り。

とりあえず鶏肉とナスを炒めて、トマト缶はまだ入れずに蓋をしておいて、洗濯物を片付けて掃除機をかける。

掃除機を終えて片付けた頃、ちょうどインターホンが鳴る。

玄関の扉を開けると、海斗くんはお茶やジュース、お菓子が入ったコンビニの袋を手にぶら下げていた。

松倉「Aちゃん、何が好きかわからなくて沢山買ってきちゃった」

『そんなのいいのに、ありがとう。狭いけどどうぞ』

松倉「お邪魔します」

脱いだ靴をしっかりと揃えて、海斗くんが私の後ろについて歩いてくる。

松倉「買ってきたもの、どうしたらいい？」

『飲み物は今飲むの以外冷やしておくから私がもらうね。お菓子とかはテーブルに置いていいよ』

松倉「おっけー」

明るい場所で見ると、海斗くんは見たことないくらいメイクがバッチリで

そういえば、髪型も朝会う時のサラサラなストレートとは違って、ワックスをつけてセットされている。

『…可愛い』

松倉「え？」

テーブルにお菓子を置いていた海斗くんが振り向く。

『メイク、可愛いね』

松倉「あ、ありがとう」

『なんか海斗くんアイドルみたい』

松倉「…、」

『ごめんね。こういうこと言われるの嫌だった？』

松倉「いや、なんでもない。大丈夫」

男性に可愛いって言うの、失礼だったかな。

これからは言わないようにしないと。

『海斗くん、パスタ食べれる？あとトマト』

松倉「食べれるよ！」

『よかった。じゃあこのままトマトソースで作っちゃうね』

松倉「何か手伝うよ」

『大丈夫だよ、あとはパスタ茹でて盛り付けるだけだからソファーに座ってて？』

松倉「わかった。ありがとね」

テーブルにランチョンマットを敷いて

パスタを茹でている間にさっき炒めておいた食材に、トマト缶やコンソメを追加して炒める。

パスタを茹で終えて出来るだけ綺麗に盛り付けて

普段は気にしないお皿の縁に少し垂れたトマトソースを、今日は丁寧に拭き取ってみたりして。

…味、大丈夫かな。