涙で光るガラス (ページ25)

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…また、キスの意味聞けなかった。

出会った女性みんなにこんなことしてるの？

海斗くんに限ってそんなことはないと思うけど。

じゃあ、私が海斗くんを好きだって知ってから振り回して遊んでるの？

それも、きっと違う。

海斗くんはそんなことするような人じゃない…と、思う。

最近の海斗くんのこと話してくれないから、わかんないよ。

私の情報は全部ネットの書き込みや雑誌で海斗くんが話していることだけ。

こんなに分からないことが多いのに、なんで私は海斗くんをこんなに好きになってるんだろう。

松倉「ねぇ、今日このまま2人でカフェ行かない？時間あるっしょ？」

『うん、行きたい』

準備をしてカフェに行くと、店主である親戚のおじさんはニヤニヤしながら私たちを見てきて少し恥ずかしい。

いつも通りコーヒーとドーナツを頼んで並んで食べて、海に行く。

ここの海岸が人の少ないところで良かった。

そうじゃないときっと、海斗くんには会えてなかったよね。

そんな海斗くんは変装せずにマスクだけしてる。

松倉「なーに考えてんの？」

海を見つめながらボーッとしていると、しゃがんでシーグラスを探している海斗くんが声をかけてきた。

『ううん、なんでもないよ』

松倉「眠い？」

『眠くないよ』

松倉「本当？」

『うん』

ずっとシーグラスを探しながら話す海斗くんの表情は見えない。

松倉「俺は眠れなかったよ」

『え、ごめんなさい。私寝相悪かった？』

松倉「違う違う！そうじゃなくてさ、ほら」

『なに？』

松倉「Aちゃんがいると癒されるけど、ね？緊張っていうか、うん、色々」

昨日寝る前は余裕そうだったのに、海斗くんも緊張してたんだ。

…ちょっと嬉しいかも。

松倉「お、あった！」

綺麗な手に、みつけたシーグラスを乗せて見せてくる。

とても嬉しそうな顔。

昨夜の大人びた表情の海斗くんも、今の無邪気な海斗くんも、全部好き。