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#44 ページ46

空side
敦君が走り去っていった。

国「走れ敦!」

国木田さんが叫んだが、私は声が出なかった。

―無価値な人間には呼吸する権利もないと云われて、彼女は『そうかもしれない』と

―僕は…違うと思う!

国「どうした?」

考え込んでたら、国木田さんに話しかけられた。

空「…私は、人の役に立たない人間に生きる価値はないと言われて育ちました。

今もそうだと思っています。

人の役に立つっていうのが何なのかまだ分かってないんですけど…

でも、違うんですか?」

国木田さんに問いかけると、国木田さんは目をそらした。

国「知らん。」

父親に言われた言葉。

それは、Aにとって呪縛だったが、

私にとっては父親と私を繋ぎとめる唯一の物だった。

確かに厳しい人だったし、Aにしたことは許せないが、私にとってはいい人だった。

ぐるぐると考えていると、頭の上に手が乗った。

空「はえ?」

国木田さんだった。

国「全く、お前らは本当に要らないところだけ似てるな。

悩んだって仕方ないだろう。」

呆れ声で言われた。

空「それもそうですね。敦君の手助けに行きましょうか?」

国「でも、あの船に乗れるのか?」

空「無理ですね。」

信じられないみたいな顔をされた。

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作者名:暁刹那 | 作成日時:2021年1月9日 13時

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