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空side
敦君が走り去っていった。
国「走れ敦!」
国木田さんが叫んだが、私は声が出なかった。
―無価値な人間には呼吸する権利もないと云われて、彼女は『そうかもしれない』と
―僕は…違うと思う!
国「どうした?」
考え込んでたら、国木田さんに話しかけられた。
空「…私は、人の役に立たない人間に生きる価値はないと言われて育ちました。
今もそうだと思っています。
人の役に立つっていうのが何なのかまだ分かってないんですけど…
でも、違うんですか?」
国木田さんに問いかけると、国木田さんは目をそらした。
国「知らん。」
父親に言われた言葉。
それは、Aにとって呪縛だったが、
私にとっては父親と私を繋ぎとめる唯一の物だった。
確かに厳しい人だったし、Aにしたことは許せないが、私にとってはいい人だった。
ぐるぐると考えていると、頭の上に手が乗った。
空「はえ?」
国木田さんだった。
国「全く、お前らは本当に要らないところだけ似てるな。
悩んだって仕方ないだろう。」
呆れ声で言われた。
空「それもそうですね。敦君の手助けに行きましょうか?」
国「でも、あの船に乗れるのか?」
空「無理ですね。」
信じられないみたいな顔をされた。
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作者名:暁刹那 | 作成日時:2021年1月9日 13時