【うらたぬき】オレンジの香りは恋の味/優帆 ページ10
「Aまた勉強してんの?」
「次小テストあるじゃん…」
「学生の本業は恋だよ?恋愛しなきゃー」
「いや本業は勉強でしょ!!」
悪戯っぽい笑顔を浮かべる友人。現在、高校2年生。もう少しで高校3年生に上がる時期だ。
皆は恋だ、彼氏だ、とか言っているけれど勉強の方が大切なんじゃないかと思う今日この頃。
私だってつい何年か前はあの先輩が好きだ、同じクラスの男子が気になる、とか友人の間で噂しあっては笑っていた。でも浅はかなこの私の恋は当然叶うはずもなく無残に散ってしまう。
それなら無理に恋せず、無理に彼氏を作らず。待ち人は待つだけ待ったらいいんじゃないかと思い、こんな世間に冷めた女子になっている。
「まーた勉強してんの?あーいう小テストは何となく受けるんだよ」
「うらたー…お前みたいに私は賢くない」
「褒め言葉は素直に受け取っとくわーうんうんその通りじゃないの?」
「うるせぇ」
「は?同情してやったんだぞ?感謝しろ」
悪そうな笑みを見せる彼はうらた。悔しくなるくらいカッコよくて悲しくなるくらい賢い。しかし、私が言うのも変だけど口が悪い。私特定の前だけ何故かこの口の悪さだ。…他の女子には優しくするくせに私にだけ。
……ちょっとだけ勘違いする。
「あ、Aに彼氏いないのってあれだろ?女子ぽくないからだろ」
「いや、ほんと、口縫うよ?昔の裁縫セット持ってくるからね?」
前言撤回。勘違いなんか有り得ない。まず、女子として見られていない。無い。有り得ない。
口角を上げたうらた。その姿にちょっと胸キュンしましまったー、なんてマンガ展開にも行かず舌打ちでお返しだ。
その時、聞き慣れたベルの音。次の授業が始まる。…あ、やべ。勉強全然出来ていない。
「お前、まさか…私に勉強させないために…」
「え、気づかなかったの?鈍すぎ」
げらげら笑ううらたに私は沸騰寸前。
私のことが嫌いなのか。
私のことを馬鹿にしているのか。
嫌いだったら…なんて考える私はうらたに恋愛感情を抱いている?そんなはずはない。
完全にうらたの意図は後者だ。くそ。
「小テスト始めるぞー教科書もしまえー」
先生の声に私は落胆しながら分厚い参考書と教科書を机の中に乱暴に放り込む。完全にうらたへの八つ当たりだ。
うらたの席をチラッと見るとうらたと目が合う。その瞬間、はにかむうらた。
ちょっと変な胸の高鳴りを覚えた。
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのこゆり - 今回もとても素敵でした…。設定もストーリーもよく考えられていて、尊敬します!同じ「スクール・ラブ」でも全然違って、読んでいて本当に楽しかったです。作者のみなさん、お疲れさまでした。最高の作品をありがとうございました! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 1f2cd0f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ