【天月】君を、守らせて/Elice ページ15
『それじゃ、文化祭の実行委員は竜胆と天宮で決まりな!!』
…どうして、こうなったのだろうか。くじ運、そんなに悪かったっけ。
なんでそんな学校行事の花形みたいなイベントの実行委員をやる羽目になったのか。
3年生の学園祭なんて、ホントに盛り上がる要素しかないじゃないか。
こっちも色々あるのになぁ、目立ちたくないのにという私の嘆きは止まることを知らない。
そして、天宮君って誰だっけ……聞いたことある名前なんだけど…
「竜胆さん、よろしくね。」
「う、うん…!?」
そう言って話しかけてくれた、黒髪にメガネをかけた男子生徒。
そうか、彼が天宮…確か天宮翔太くんだ。1年生の時にも同じクラスだった気もする。
どちらか、といえば地味な分類に入る彼。まぁ私も同類だけれども。
『委員会に所属した生徒は放課後に委員会があるからなー!帰んなよ!!』
「…マジ、ですか。」
今日は帰ってから明日休みだし、ゲームをしようと思っていたのに……
仕方がない。なんて諦めながら放課後を待つ。
その後の授業のことは、申し訳ないが考え事のおかげで覚えていない。
『よーし、じゃあホームルームは終わりだ!!』
先生のその声で、クラスメイトは教室を後にしていく。
さぁ、私も委員会の集合場所に行かなくては。
場所を確認しようと、黒板に掲示されていた張り紙を見ようとしたら
不意に、肩を叩かれた。
「ひゃっ!?」
「ご、ごめん。驚かすつもりはなかったんだ…一緒に、行かない?」
「な、なんだ…天宮君か。驚かさないでよ…」
「ごめんて。ねぇ、行こうよ。」
「そうだね、行こ。」
今思えば、彼はこの時から気が付いていたのかもしれない。
私の秘密に、ただそれを明かすと彼自身の秘密が同時にばれてしまうから。
あえて、その場では言わなかったのだろう。
「2-B…ここだね。」
「だねー、っていうかさ天宮君…風邪?」
「ううん、予防してるだけ。」
メガネにマスク…そんなに完全防備するのか。
それに、つい先程まで忘れていたのにアレだが
彼は昔……どこかで見たような…気のせいか?
「…竜胆、さん?」
「へ!?」
「ぼーっとしてたけど…始まるよ?委員会。」
「え、あ、ごめん…ありがと。」
委員会が始まった、幸い私も天宮君も一般的に言う三役、にはならずに済んだ。
話を振られたときには2人してかたくなに拒否したものだ。
理由…それは、私にも、彼にも……目立ちたくないワケがあるからだろう。
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かのこゆり - 今回もとても素敵でした…。設定もストーリーもよく考えられていて、尊敬します!同じ「スクール・ラブ」でも全然違って、読んでいて本当に楽しかったです。作者のみなさん、お疲れさまでした。最高の作品をありがとうございました! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 1f2cd0f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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