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確かに、そうだ。
ちょっかいかけられてうざく思うなら私はちゃんとその人にやめてって言うし。好きじゃなかったら今さっきの発言なんてとてもじゃないけどしないはずだ。
多分、自覚するよりも前から好きだったんだろうな。
恥ずかしい、とかそんなことはなかった。
天井を見つめていると段々と睡魔がやってきたようで気付けば私は眠りに落ちていた。
****
「ん…」
目先に映るのは見慣れない天井。ここは家じゃないみたいだ。
体をゆっくりと起こすとカーテンが揺れていてここは保健室だと思い出す。窓を覗くとみかんの木がある。頭の痛さも吐き気も何もかも消えていて怠さが残る。
カーテンを開けると隣で誰かが眠っているようだ。いいことにカーテンが開けっ放し。ここは幼心で誰が寝ているか気になるもの。迷わず覗く。
「ばーか、まだ寝てろ」
「う、らた…!」
デコピンでベッドに押し戻されそのままカーテンを再度閉められる。
てっきり帰っていると思っていたのに隣のベッドにいるなんて。
くそ、余裕で恥ずかしい。
「うらた、なんでいるんだよ」
「俺も頭痛いですーって棒読みしたら無事ベッド行き」
「先生は?」
「また呼び出し中ー長そうだわ」
「ふぅーん」
布団をかぶり、寝息を立てる演技をする。うらたを騙そうというガキな行動。
カーテンを開けることはないと思う。男女だしね。そこはうらたでも配慮はしてくれていると思う。
かまってほしい。
すきと思ったらとことんのめり込むのが私だ。惚れた弱みというものだろう。うらたが驚く顔がみたいとか笑う顔がみてみたいって考ると自分の口角が思わず上がってしまう。
今は何時だろうか。勉強漬けの毎日で本当は必死に板書を写して必死に先生の話を聞いているはずなのにね。
『無理すんなよ』
今更ながらめちゃめちゃ嬉しいかも。こんなこと普通だったら言われないんだろうな。女子は一度は言われたいんだろうな。そう思うとすごいレアな体験をしたんだな私。
寝息を立てる演技は思いの外上手くいったようでベッドを降りる音が微かに聞こえた。
するとガラッと開く音が響く。ドアが開いたみたいだ。
先生かな?と呑気に考えていたら、
「うらたくん!」
「やっぱここにいたんだ」
「さぼりかぁ。うらたくん。もうお昼だよ?」
思わず息を殺す。この甘くとろけるような声はクラスの女子だ。しかもゆるふわで可愛い女の子たち。
え、どうするの⁉
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かのこゆり - 今回もとても素敵でした…。設定もストーリーもよく考えられていて、尊敬します!同じ「スクール・ラブ」でも全然違って、読んでいて本当に楽しかったです。作者のみなさん、お疲れさまでした。最高の作品をありがとうございました! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 1f2cd0f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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