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「うらた、早く授業戻りなよ…私はいいから、さ?」
「先生に言われたんだからいるわ」
「うっ…」
ベットに横たわってわざとそっぽ向く。うらたの顔を見たら心拍数がうなぎのぼりな気がして。
「お前、無理してたんじゃねぇの?」
「そんなの…してない」
「昨日何時に寝た?」
「……夜中の3時」
「バカかよ」
毎日勉強漬けの日々だからこれくらい日常茶飯事。でもこれまでは倒れなかったし大丈夫だろうと軽く思っていたのだ。
「無理すんなよ」
「勉強していい大学行くもん」
「十分賢いから大丈夫だって」
うらたから賢い、なんて言葉が出るのなんて珍しくて思わずうらたの方へ振り返る。すると意地悪な笑みはどこにも見当たらなくて真剣だとひしひしと伝わった。
うらたの本心、なんだ。
「いつも血色悪い顔してると思ったら…やっぱそういうことだよな」
「えっ…そんな顔してた?」
「見てたら分かる」
血色が悪い顔よりも気にしてくれている、という事実がどうしようもなく嬉しかった。
「本当はね、いい大学に行こうなんてこれぽっちも思ってないんだよ」
「……どういうこと?」
「待ち人を待って待って誰か努力してる私を見つけてくれることを、待ってる。今も」
大前提として大学に行って夢を叶えるのが本来の意味だ。でもね、そうやってひたむきに頑張って生きている私を褒めてくれる日を待ってる。最近、気づいてしまった。
勿論、彼氏とかは別にいいかなとは思うけど。
「無理し過ぎ。ばか。体壊したら意味ねぇだろ」
「賢いってさっき言ったのに矛盾だー」
「とっとと寝とけ」
布団を無理矢理被せられてしぶしぶ布団に潜り込む。
まだ、ドキドキの余韻が残っている。
…マンガみたいな展開だったらここで主人公はうらたに恋するんだろうな。ドキドキの余韻はきっと吐き気の余韻だ。
そもそもうらたに恋したって女子として見られていないのならば叶わない。叶わない願いをわざわざ持つ必要もない。
言い訳、ぽいかな。私の理由。
「うらた、もしも私がうらたのこと好きーって叫んだらどうする?」
すっぽりとはまった布団からうらたを覗く。生憎布団が大きくてうらたの姿は見えない。
「んー…とりあえず返事はする。あと叫ぶの意味何」
「へぇーいや意味はない」
返事をしてくれるだけで安心。
一挙一動反応する私って、
完全にうらたのこと好きですよね。
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かのこゆり - 今回もとても素敵でした…。設定もストーリーもよく考えられていて、尊敬します!同じ「スクール・ラブ」でも全然違って、読んでいて本当に楽しかったです。作者のみなさん、お疲れさまでした。最高の作品をありがとうございました! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 1f2cd0f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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