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【69】 ページ21

太輔side:



最近北山先輩は定時になると帰ってしまう。今日は忙がしいのか定時を過ぎても机に向かっていた。


たい焼きに誘ってみようかと先輩の様子を伺っている。するとパソコンの電源を落とし机を片付けだした。


「先輩たい焼き食べて帰りませんか?」


「う、うん・・」


少し驚いて返事をする。


二人でぶどう狩りに行って以来先輩とまともに話をしていない。


それは俺が話しかけないから。それを察してか先輩からは話しかけてこなかった。


あの日、ホテルで二階堂先輩から電話が掛かってきた。





「なあ・・ 藤ヶ谷・・・ あいつさ・・・


小さい頃に父ちゃんが居なくなってからずっと母ちゃんと二人きりなんだ。


母ちゃんは精神的に不安定で・・・ いつもミツは一人ぼっちだった。


ミツが熱を出して寝込んでいるとき俺はよくミツに付き添った。


手を握ってやるとうれしそうにして、俺の手を母ちゃんだと思って安心するみたいなんだ。


だからあいつの手を握っててやってくれないか?」


え?・・


「俺がミツの側に居たいんだけど・・・ 藤ヶ谷に任せる。手を握るだけだからな。変な気を起こすなよ」





電話を切ったあとベッドの端へ座って先輩の寝顔を見下ろしていた。


「ん・・・」


「先輩?・・」


先輩が空中に手を伸ばす。


「かあ・・さん・・・」


その手を取るとニコリと笑う。


「ニ・・カ・・・」


きゅうっと手を握ってくる。


先輩は・・


この手をお母さんだとは思っていない。


この手は・・


「・・ニカ・・」


先輩の隣に横になり小さな体を抱きよせる。


「先輩・・」


柔らかい髪の毛にキスをする。


そして二階堂先輩を呼ぶ唇を・・ 自分の唇で塞いだ。


「ん・・」


唇を離し先輩を見つめる。


小さな子どもみたいに無垢な顔・・


見ているととても幸せな気持ちになる。


この寝顔を二階堂先輩はいつも見ていたんだ。


ズキン・・・


何?・・・


胸が・・ 苦しい・・・





それから先輩に向き合うことが出来なかった。


なんで?


こんなに感情が表に出る?


こんなに想いがぐらつく?


俺は・・・

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ちゃかぼ(プロフ) - こんばんは!はじめまして、花のOLくらぶ大好きでいつも楽しみに待っています!ニカちゃんにもきちんと思いが伝えられて一安心。また更新楽しみにしています! (2016年11月2日 22時) (レス) id: 0038efa594 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなび | 作成日時:2016年10月12日 22時

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