霞柱は雪柱に振り向いてもらいたい【時透無一郎】

第拾捌譚 ページ20

神崎「−−あ、Aさん」


『胡蝶さんから、彼らの訓練を手伝うようにと言われて』


神崎「そうですか。みなさん、聞いてください！

　 今日の訓練は、Aさんが参加してくれます！」


　竈門くんがうれしそうにほほえんだ。我妻くんはなんか気持ち悪くニタニタ。

　そしてーー。


？「オイ、お前！ 強いのか！ 勝負するぞ！」


竈門「やめろ、伊之助！ 驚かせてごめん、A。

　 嘴平伊之助っていうんだ。ちょっと好戦的な性格で」


　いや、猪の被り物を被ったひとがいきなり出てきたら、吃驚するよ・・・。

　その後、竈門くんがなだめてくれて、体ほぐしを終えて、反射訓練。

　やはり、三人とも栗花落さんに薬湯をぶっかけられる。

　栗花落さんは、おそらく目がいいんだろう。目が人と違うから。

　しかも常中を取得している。だから、手も足も出ず負ける。


栗花落「・・・次、A」


　これ、わたしが出る意味あるのかな・・・。あ、でも・・・。


『・・・三人とも、同時にかかってきて』


竈門・我妻・嘴平「え？／は？」


　目を丸くした三人。栗花落さんはどうやら理解したようだった。


『癸隊士三人くらい、同時に相手できます』


神崎「それでは・・・始めっ！」


　バシャッ、バシャッ、バシャッ。


『・・・わたしの勝ち、ですね』


　やはり遅い。三人まとめてでも、全然余裕だ。


竈門(なんていう速さだ・・・！ 手も足も出なかった)




神崎「次は、全身訓練です」


『栗花落さんも参加していいですよ。四人くらい、大丈夫です。

　わたしが逃げるので、捕まえてください』


栗花落「・・・わかった」


　栗花落さんに捕まることがあっても、彼らに捕まることはないだろう。


神崎「始めっ！」


　体をひねったり、軽く飛び跳ねてかわす。

　そうして、誰にも捕まえられず、わたしの勝ちで終わった。


竈門(速い！ どうやったら同期なのにこんなに違いが出るんだ！)


『・・・わたし、これから任務なので。後はお願いします』


栗花落「訓練、ありがとう」


　栗花落さんのお礼にペコリとお辞儀して、訓練場を出る。

　常中を彼らにやらせたほうがいいだろう。

　寺内さんたちに、今度話しておこう・・・。


☁・・❀・・☃・・☽


　大正コソコソウワサ話！

　栗花落様は、ご主人様のことを尊敬して慕っています！

　ご主人様のことは、コインを使わなくても決められるんですよ！ ｂｙ鈴

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