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他人の手料理がこんなにも温かいなんて知りませんでした。 ページ1

「あのー...」
返事はない。
私の声が小さかったのが悪いのかしらと、息を吸い、次はもう少し大きな声で声をかけてみる。
「すぅー...っあのお!!」
「ええいうるさい!!そんなに大きな声をあげなくとも聞こえてるよ!」
そう言って、両手で耳を押さえながら苛立たしげに私を見つめるのは...
「っていうか、早くこの縄を解いてくださいよ!『ドラルクさん』っ!!」

何故私がロナルドさんの事務所へ連行(?)される羽目になったのか。自体は数十分前に遡る。
いきなりだが、私はとある高等吸血鬼のメイドをしているのだ。副業で。賃金もまあまあ高いし、家から近いしと軽い気持ちでメイドを始めてみたはいいものの、現実はそう甘くはなかった。
吸血鬼、という言葉。貴方はこの言葉から何をイメージするだろうか。ニンニクに弱い?十字架が弱点?いやいや、一番の弱点は朝日。少しでも日に浴びればたちまち体は砂のように崩れ、死んでしまう。
つまり、吸血鬼には夜行性が多い。私のような普通の人間が昼は本業夜はメイドというような重労働をこなせるわけがなかった。睡眠をとることもできず目の下には隈が浮かび、食事をとることもままならないため髪は栄養不足でぱさぱさだ。
早く雇い主の館へ行かないといけないのに...
あー、もうダメだ。
限界を迎えた私の体はその場に倒れる。意識を失う数秒前、私の耳に入ったのはこちらへ駆け寄ってくる吸血鬼の足音だった。

...と。ことの経緯はこんな感じ。その吸血鬼がドラルクさんだったのかはわからないが、今私がロナルドさんの事務所にいる以上駆け寄ってきたのは彼だったのだろう。
助けてくれたのはありがたいけれど、仕事に行かないといけないというのに。こんなところで悠長に休んでいる場合ではないのだ。
「私を家に帰らせてください」
「ダメだ。どうせあの館へ向かうのだろう?嘘を吐いていることくらい見ればわかる」
「ぐっ...そっ、そうですよ。早く館へ行かないとお嬢様に叱られちゃいます。だから!ここから出して」
「だぁーめっ」
ぷいと再びキッチンへと戻ってしまったドラルクさん。くそっ、手足を封じられていなければあの人くらいすぐに始末できるのに...。...?
「あれ...」
何だろう、何か凄くいい匂いがする。アロマ?とかの類いでは絶対にないし、というより寧ろ懐かしいというか、家庭的というか...

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設定タグ:吸血鬼すぐ死ぬ , 夢小説 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:夜凪亜蓮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Chihiro0521/  
作成日時:2024年3月28日 18時

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