司法に携わる彼らとの日常×2 (ページ37)

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続き×2 ページ37

やがて私がゲームをするのを見ているだけでは飽きてきたのか、あくびをして横になる彼。目の下にはうっすらと隈が浮かんでいる、何でも今は弁護士になるため猛勉強中なのだそうだ。
何故俳優を志していたはずの彼が弁護士になるだなんて言い出したのか、一度理由を聞いてみたことはあったのだけれど、上手くはぐらかされてしまった。
小学四年生の頃に起こった出来事がきっかけだということだけ知っているのだが、生憎四年の時は別のクラスだったので詳しい事情はわからない。
「暇なら説明書でも読んどく?」
一応客人なことに変わりはないので、今プレイしているゲームのパッケージを彼の方へ放り投げる。
適当なページを開いては「何だコイツ」だの「変な髪型」だの声を漏らす彼。龍一くんに人様の髪型に文句を言う権利はないと思うのだけれど。
「ふーん···まあ、世の中には色んなニーズがあるんだな。どうでもいいけど」
どうでもいいなら言うなよ···
それ以来、私達の間には再び静寂が流れる。何か適当な話題はないかなと頭の引き出しを引いてはかき混ぜて
「因みに、龍一くんのタイプの子とかいた?」
···なんてことを聞いているんだ私は!
沈黙を避けるため口にした話題に思わず自分でツッコミを入れたくなる。これで私と全然違う性格の女の子を示されたら今度こそ精神がやられてしまう。
「うーん、タイプねえ」
「ごっ、ごめん、今のは聞かなかったことに」
「やっぱり···」
返事をするつもりなのか、頬を赤らめて口を開く彼にこちら側は閉口してしまう。
ずるい、そんな顔をされたら、期待してしま···
「今はちーちゃんしか目に入らないかな!」
「···は?」
にこにこと、満面の笑顔で彼女の惚気を繰り出す彼にまた頭痛。既に私以外の人間は惚気話が始まるやいなや何かと理由をつけて彼から離れるようになっていた。
つまり、彼の惚気を聞く役割は私だけの特権。私は、彼の特別になれるのならばどんな役割だっていい。
ちなみさんには悪いけれど。
今だけは、私に龍一くんを一人占めさせてね。