司法に携わる彼らとの日常×2 (ページ3)

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アンタの泣いているところなんてページ3

｢えっ...｣
扉を開くと、Aさんは泣いていた。

ちょっとだけ声を聞きたいなと思って、でもこんな時間だし迷惑かなとも思って。うだうだと悩み、気付けば三十分も経っていた。
こんなことをしていてもしょうがないと思い、部屋に入ってしまおうと決意を固めて。ドアの前に立つ。
深呼吸をして心を落ち着かせる。やっぱりやめとけばよかったかな、オレってこんなにいくじなしだったっけ。
そんなことを考えながらドアノブに手を伸ばして。
...?何だこの音。
部屋の中から聞こえるのは、本当に小さな泣き声。...え、泣き声?
｢えっ...｣
頭で考えるよりも先に体が動く。悪い癖だなあ、直さないとなんて考える暇は今はなくて。
ドアを開けた勢いのままAさんの元へ走り込む。
電気も付けずに地べたに座り込んでいるその姿...予想通りだった。
｢っ...う、すけくん...｣
ああ、もう。こんなに目を赤く腫らして、早く蒸しタオルを。いや、その前に服を替えるか?そんなになるまで泣いていたなんて、何があったんだ。どうしてオレはもっと早く気付いてやれなかったんだ、オレの馬鹿。早く、早く何とかしないと。
｢ひ...｣
Aさんを強く抱き締めて、ゆっくりと背中をさする。
こんな事でAさんの悩みがなくなるとは思えないけど、取りあえず一旦落ち着いてもらうために。
落ち着いたら何があったかも話しやすくなるだろうし、今他に何をすればいいのかという判断が出来る程の余裕は、今のオレにはなかった。
｢...何か悩んでる事があるなら、オレに言ってください。アンタのためなら、何だってしますから｣
勿論この言葉に嘘はない...と思う。
Aさんの頼み事なら全て解決してあげたいし、欲しい物があるのなら何だって買ってあげたい。
実際、俺はAさんを守るためならばなんだってしてきた。
だから
｢...じゃ、じゃあ...どうして、こんな事するのっ!?｣
なんて、オレが責められる筋合いはないはずだ。