司法に携わる彼らとの日常×2

続き ページ20

真宵ちゃん
｢Aちゃん!私とっ、こっ...恋人になってくれないかな!｣
装束の裾を固く握り締め、思いを告げる彼女。
彼女、綾里真宵は倉院流霊媒道本家の娘。当然自由に恋愛を楽しめるような立場ではなかったし、彼女だってそれを自認していた。
しかし、Aと出会ってからというもののその秘めたる思いは膨張するばかり。遂にその恋心は爆発し、突発的に告白をしてしまった。
ちらとAの様子を窺う彼女。
｢真宵ちゃん｣
自身の名が呼ばれた瞬間、勢い良く顔を上げる。
｢...っごめん｣
｢...へっ?｣
｢えぇーっと、真宵ちゃんのことは大好きなんだけど、それとこれとは違うっていうか、私は真宵ちゃんと友達でいたいな〜というか、第一｣

｢私なんかと釣り合うような身分の方じゃないし...｣
最後まで言葉を聞かず、屋敷まで足を走らせる彼女。今後一切Aと交流を取ることはない。

龍一
幼い頃からAちゃんに思いを寄せていた彼。
いつになるかはわからないが、大きくなったらちゃんと好きだと言おう。しかしその考えは甘く、Aから｢彼氏ができた｣と報告された。
当然落ち込んでいた彼だったが、どうせ断られるのはわかっているんだからせめて後悔しないように近々告白しようと決意。これで会うのは最後にしようと一週間後に会う約束を取りつけた。
...さらに不幸は重なる。約束の当日、Aの恋人がとある事件の容疑者になってしまった。
｢お願い、あの人を助けて...｣
泣きすがるAの頼みを聞き、彼の弁護を任される彼。結果は無罪だった。
｢ありがとう、本当にありがとう...!｣
満面の笑みを投げかけるAに少し感情を揺さぶられたが、それは自分ではなくAの恋人に向けられた感情。
｢うん。これからも、お幸せに｣
この事件を担当した検事は｢あの日無罪を持ち帰ったはずの彼には何故表情がなかったのか｣と不気味に思ったと言う。

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