司法に携わる彼らとの日常×2 (ページ11)

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まだ帰ってほしくないらしいページ11

冥ちゃん
ふと窓の外を見ると、目に入る一面の橙。
そろそろお暇しようかと支度をしていると、少し目を丸くさせた彼女に｢泊まっていくんじゃなかったの?｣と尋ねられる。
｢今日は用意もしてこなかったから｣と答えると｢そう...残念だけど、無理強いはよくないわね。暗くならない内に帰りなさい｣と、残念がってはいるものの、なんだかんだAの意思を優先してくれる。

みぬきちゃん
｢もう帰っちゃうんですか?｣
目を伏せがちに唇を噛んでいる。涙を堪えているのか瞳は震え、声もどこか弱々しい。
｢みぬき、ママが出来たみたいで嬉しかったんだけどな...でも、Aさんが帰るっていうならしょうがないですよね｣
情けなく垂れた前髪を振り払って明るい表情を見せる彼女は、なんとも健気で愛おしい。
彼女に少しでも幸せを噛みしめてもらいたいと、今日はお泊まりすることになった。

あやめちゃん
Aに与えられた二日間の休暇。｢もしよろしければ、葉桜院にいらしてはもらえませんか?｣という彼女の誘いに乗ることに。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、気付けばもう夕方。帰る支度をしていると｢もう、お帰りになられるんですの?｣と聞かれる。服の裾を握り締めている彼女は寂しさを堪えているようだ。
｢また来るね｣と彼女につられた切なさを押し殺して玄関に向かおうとすると、緩く手を繋がれる。
｢その、私、間違って御夕飯を3人分作ってしまって...だめ、ですか?｣
上目遣いがまああざとい、これを断れる人間なんて存在しない。
夕飯をごちそうになった後も彼女の服を借りてお泊まりデートすることになった。

弓くん
｢もう帰るのか?もっとゆっくりしていってもいいんだぞ?｣
どこか偉そうな口調だが、簡潔に言えばもっと一緒にいたいの一言。
｢今日は予定があるから｣と帰ろうとすると｢そっかー...じゃあ、明日なら大丈夫だな!｣と、手を振られる。
｢明日もちょっと...｣と上手く断れずに言い淀んでいると
｢何で?今日は無理ってことは、明日ならいけるってことだろ?｣
と返された。彼の瞳は汚れを知らない無垢な子供のように澄んでいる。Aが自分以外を優先するなんて考えもつかないらしい。