夕立;17 ページ29
「A〜、包帯変えるぞ」
エースがベッドの上で本を読んでいたAを呼ぶ。
―――結局、Aの頭を殴った犯人は分からないまま3週間が経ってしまった。
「はーい」
「お、いい返事だなぁ！」
最近、マルコは親父の使いでいない日が多いので、エースが代わりにAの包帯を変えていた。
エースがベッドに座りAの後ろにまわる。
「んじゃぁ外すな」
「…ん、」
エースがそっと包帯の結び目を
「………っう、ん、」
Aの肩がびくりと跳ねる。
「っ、悪ぃ、痛かったか？」
「…大丈夫！」
ガーゼを剥がす時に痛みがあるのだろう。エースは慎重に剥がしていく。ガーゼを剥がし終わると、アルコールの瓶をとり、綿で消毒していった。
「誰かと思ったら、エースかよい」
Aの部屋に入ってきたのはマルコだった。どうやら白ひげの使いの帰りらしい。手には何やら紙袋を抱えていた。
「おう、おかえりマルコ。早かったじゃねぇか」
「意外に親父の用事が手早く済んだんだよい」
マルコは紙袋をガサガサと漁ると、中のものをパッとAに見せる。
「…林檎？」
「今日、おまけにって貰ったんだよい。Aが食べるなら今剥いてやるよい」
「…ほんと？食べる…！」
マルコは優しく笑うと林檎をナイフで剥き始めた。料理をしないとはいえ、このぐらいなら造作もない。
「A、包帯巻くからな」
エースは声をかけるとガーゼを覆うように包帯を巻き始めた。
その様子をマルコは林檎を向きながらチラチラと見る。
『もう、手馴れたもんだなァ…』
緩まないように、けれどAが痛がらないようにエースは包帯を巻いていた。
『最初、包帯の巻き方を教えてくれって言ってきた時には何事か思ったけどよい』
Aが怪我をしてすぐにエースが自分から言ってきたのだった。包帯の巻き方なんぞ覚えてどうするんだとマルコは聞いたが、『マルコのいない時でも自分で一通り手当ができるように』というまともな意見が出たため、マルコはエースに包帯の巻き方を教えてやったのだ。
「もう手慣れてんなエース」
「…そうかぁ？でもやっぱマルコには負けるな。A、未だに痛がらしちまうし」
「Aはエースに包帯変えてもらってどうだよい？」
マルコの問いにAはニッコリ笑う。
「大丈夫！だってエース優しいもん」
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
