夕立;16 ページ28
――――――おいおい、かくれんぼしてた時間から何時間経ったと思ってる…………？
そうマルコはため息をつく。
「……A、今度からはちゃんと言ってくれよい」
「…でも、僕、大丈夫、だと思ったから。殴られた時、そんなに酷くないと思ったから」
「それでも、それでもだよい。……A、怒らないって言ったけど、怒ってるよい」
怒ってる。
正確に言えば”自分”に。気づいてやれなかった。もっと気づくタイミングはあったろうと言いたい。
「俺は怪我したことを怒ってるんじゃねぇよい。少しの怪我でもちゃんと言ってくれ。特に、今日みてぇに頭の怪我は見た目よりも酷いことだってある。お前は殴られた時は大丈夫だと思ったんだろうけど、現にあとから大変なことになってるだろ？」
「……………う、ごめんなさい…」
これ以上マルコを喋らせると長々説教が続きそうだ。Aも心底反省してるようなのでサッチが止めに入る。
「A、殴ったやつは見たのか？」
サッチの問いにAが首を振る。
「……ううん、見てない。殴られた時、船底の方にいて、暗かったし、多分後ろから殴られてたから顔は見てない」
「…それじゃぁ、誰がやったか分かんねぇじゃねーか」
エースが唇をとがらせる。
「おいおい、Aを責めんなよ」
「違っ、責めてるわけじゃねーよ。……ただ、許せねぇだけだ。子供の頭殴って平気な顔してるソイツが」
「……………声」
Aがおもむろに言い出す。
「声？」
「…殴られた時、声が、声、聞こえた。………なんて言ってたのかは、分かんないけど。女の人の声だった」
「……女って……」
エースの眉がぴくりと跳ねる。
「…………ナースって、ことか？」
「まさか、ナースのお姉さんが？」
サッチも疑いの目を向ける。
この船に女は白ひげのナース達しかいない。
「……嘘、じゃないよ。…ほんとに女の人、だったもん」
「安心しろ、誰もお前が嘘ついてるなんて思ってねェよ」
エースが安心させるように笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
