【ツイステ】時は止められないから (ページ1)

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第1話　前置きページ1

夜の獣道をひた走る刀剣が一振。
美しい身体は傷だらけで、血が溢れ出る。

その刀剣の名を"大和守安定"。又の名を"A"と呼ばれる刀だ。

元の主は、沖田総司。新撰組で活躍した男だった。

本来、刀剣は男として擬人されるが、安定は女として産まれ、愛称がAに成った。

前置きは置いといて、現在Aは危機的状況に置かれている。

長く続いた時間遡行軍との戦いは終演を告げ、世界から刀剣男士は必要無くなる。つまり、これは刀剣破壊を示す様な物だった。
戦争が終わり刀剣男士が居る事で、本来、もうこの世に存在しない刀剣も居るなか、刀剣が存在する事で歴史改変に繋がってしまう。

審神者は自分の仲間を目の前で折られるのに涙し、嘆き、叫ぶ。

辛いが、これが現実だ。
数々の審神者が刀剣と別れを告げるなか、Aの主はAに最後の主命を下す。

「A。よくお聞き」

「やだっ！主！主と別れるの嫌だよ！」

「私だって別れるの嫌だ。だけどね、政府によって強制的に私の大切な家族を折られるぐらいだったら、逃げ延びて欲しいと私は思った」

「…それって規則違反だよ。僕達のせいで主が罰せられるのはもっと嫌だ！」

「大和守安定！」

「っ！」

「今の本丸にはAと手入れが出来ない重傷の清光しか居ない。他の皆は政府に折られた。残りの二人も折られるぐらいなら逃げて欲しい。
政府に罰せられたら、私は死ぬと思う。でもね、二人は私の最後の時間まで、それ以上の時間を生きて欲しい」

「主…」

「我が儘な主でごめんね。大和守安定に最後の主命を下す！加州清光と二人で生き延びろ。そして互いを助け合いながら、生きて。
さぁ行って！政府が来る！私は時間を稼いでるから！」

「主ッ！」

「大好きだよ。私の事を忘れないでね」

涙を流しながら、Aは相棒の加州清光をおぶり、転送装置を作動させ池田屋に向かった。

さて、物語は冒頭に戻る。
池田屋を出発したAは森に向かって走った。

政府の役人から一刻も早く逃げなければならない。人間の足では獣道を登るのに苦労すると踏んだのか、Aは山を選んだ。

だが追って来たのは人間ではなく、一文字則宗。
政府からの追ってだろう。

レベルは自分達より上を行っているので機動が物凄く速い。

遂にAは崖に追い詰められた。