12.お家事情 ページ13
ー数年前ー
私は俗に言うお嬢様というものだ。
由緒正しい家に生まれ決められた人生を歩んでいく。
子供に意志など必要とされないただ家を存続していく道具として存在する。
「あら、A様だわ」
「お戻りにならはったんやね」
「今は見習い期間やのに随分早いおかえりやこと」
「それにしても相変わらず怖いお顔やね」
遠巻きに内緒話にいそしむ女中達の声を聞き流しながらある部屋へ向かう
『失礼致します。』
中から入れという声が聞こえ襖を開ける。上座にはこの家の家主の父がその横に母が座っている
あの人なんだか少し痩せたな
久しぶりに見た母にそんなことを思いながら視線を父親に向ける
「用件はわかっているな？」
父の低い声がしんとした部屋に響く。
呼び出される時はいつもお叱りを受ける時だ。
『試験の件でございましょうか。』
「なぜ、一位が取れない。」
私の言葉に簡潔に帰ってきた返事。久々に帰ってきた娘にかける言葉がそれなのかとイラつくがもう慣れたことだ
暁は 病魔や病に長けた一族
神依は 憑依に長けた一族
では天神は？
簡単に言えば神の血をひく一族だ。
本当かどうかは知らないがこの一族はそう信じ込んでいる。それ故にプライドが高い。
天神の人間とあろうものがなぜ常に一番ではないのだ。
これが父の口癖だ
『申し訳ございません。』
「はぁ、これなら妹を跡継ぎに考えるか」
「なっ！旦那様それは、」
父親の言葉にすかさず母親が反応する
妾の娘に負けるなんてこれが母親の口癖
プライドと権力にしか目がいかない両親のことを嫌いになるのに時間はかからなかった
「とりあえず今日はもう下がれ」
『かしこまりました。失礼致します。』
______________
「A待ちなさい！」
自室に戻ろうとすると母親に話しかけられた
『・・なんでしょうか。』
「なんでしょうかじゃないわよ、なんでそんなに涼しい顔してられるの！？跡継ぎになれないかもと言われたのよ！？」
権力にしか目がいかないこの人にとっては重大よね
『興味が無いので』
「っっ、どうして、こんな子に育ったのかしら、笑いもしない悔しがることも無い、不気味な子」
そう言い捨てどこかへ消えた母
『貴方のせいですよ。・・なんてね』
消えるような声で囁く。
ー笑いなさい！ー
あなたの言葉で私はどうやって笑ってたか忘れたよ
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アリス・キーリング(プロフ) - 一気読みさせていただきました！泣きそうになりながらもワクワク読ませていただきました！続編の笑えないブラック本丸日記が見当たらないのですが、題名等変更されましたでしょうか？ぜひ読みたいのでリンク貼っていただけたりしませんか？ (2022年3月21日 19時) (
レス) id: 8740f5ba7c (このIDを非表示/違反報告)
鈴音 - 途中途中、すごく泣きそうになりました。特に岩融と今剣の共闘シーンとか最高でした。私こういったヤンデレ要素が入ったお話し好きでよく読むんですがトップを争うぐらい良かったです!!! (2022年1月29日 16時) (レス) @page41 id: 484b1a468b (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 岩融と今剣の共闘シーンで、かの有名な偉人である弁慶と義経公を思い出しました、めっちゃ良い作品でした(´TωT｀) (2021年9月27日 9時) (レス) @page41 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀(プロフ) - コメントするの忘れてて、思い出してコメントしました (2021年8月17日 11時) (レス) id: 3ff2a4c3bb (このIDを非表示/違反報告)
孔雀(プロフ) - 岩融と今剣が｢共に我が主君のために〜｣って言ったところで泣きました。岩融と今剣が交差してたところでもっと泣きました。神作品が完結してちょっと寂しいです。お疲れ様でした！ (2021年8月17日 11時) (レス) id: 3ff2a4c3bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山茶花
| 作成日時：2020年11月26日 1時
