世界から見放された吸血少女は異世界で飼われる3

愛されたい108 ページ21

【A】



『んっ………あれ、』




今のは何だろう。ゆめ？




ユウ｢Aちゃん！！｣



ギュッ



『わ、ゆ、ユウさん？なんで泣いて……』



ぼろぼろと涙を零し私を強く抱きしめるユウさん



不安になって抱きしめたらいいのか迷ってるとユウさんがゆっくりと離れた





ユウ｢なんでじゃないよ！Aちゃん3ヶ月も眠ったままだったんだよ！？｣



『え…』



3ヶ月？


ユウさんの言うことは事実らしく外は雪が振り白銀の世界が広がっていた


見慣れた部屋…オンボロ寮の私の部屋だ


見慣れないものもある。薔薇、獅子の置物、魚のぬいぐるみ、絨毯、林檎、何かの機械、ドラゴンの指輪



『あれは…』




ユウ｢ああ、他の寮からのお見舞い。毎日かわりばんこでお見舞いに来てるの｣


『皆さんが』



毎回お見舞いの品持ってくるから物で溢れて大変だったと怒りながら教えてくれる



心配してくださったんだと嬉しくなる



ユウ｢みんなにも連絡しといたからもうすぐ来ると思うよ。さっきの私みたいに抱きしめられる覚悟しててね｣



にっと笑うユウさんの笑顔に安心する




ユウ｢あ、水飲むよね。とってくるね｣



部屋から出ようとするユウさん




そうだ、私ユウさんに



『あ、あの！』


私が大きな声をあげたことに少し驚いてユウさんは優しくなに？と聞いてくださる




『あ、の、私、ユウさんに、謝らないといけないことが』



ユウ｢う、ん？｣



『わ、わたし、ユウさんの、部屋の鏡をわって、しまって』



ユウ｢うん？知ってるよ、怪我がなくて良かった｣

『違うんです！"わざと"割ったんです！あの鏡がユウさんが元の世界に帰れる方法って分かったから！』


ユウ｢え、帰れるって、｣


『ごめんなさい！私、自分のことばっかりかんがえて、ユウさんと一緒にいたくて、帰って欲しくなくてわざと割ったんです！』


わたしが泣いてどうするんだと思うのに涙が止まらない、ユウさんは私の事こんなに心配してくださったのに

帰ってほしくないなんて、そんな勝手な・・



ユウ｢えっと、うん、そもそも私帰るつもりないよ？｣



『へ…？』



ユウさん曰く元の世界に未練もないらしくこちらで卒業後の生活のあてもあるみたいだった




ユウ｢ふふっ、そっかAちゃんそんなに"私と"離れたくなかったんだ｣



『え///あ、はい…///』




ユウ｢ねぇ、Aちゃん。大好き！愛してるよ！｣

愛されたい109→←愛されたい107

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す