世界から見放された吸血少女は異世界で飼われる3

愛されたい107 ページ20

【A】



夢を見た



長い長い夢…



普通の人間みたいに学園生活を送って友達もできて



楽しい楽しい夢



でも、それを自分の手で壊すの



絶望して、怖くて、信じられなくなって



一番大事な人を傷付けた



(もう…会えないのかな……)



真っ暗空間でひとりぼっちであてもなく歩く




多分ここにゴールはないんだろうな



静かで何も無い場所



クロ｢Aさん｣



ぽわぁと光に照らされて現れた仮面の人



誰だろう、記憶が混濁して分からない



クロ｢安心してください。起きたら記憶は元通りですから｣



私の不安を見抜くように話す人



クロ｢もう気づいてると思いますが貴方の体は人間になりました。まあ、吸血鬼だった後遺症として吸血することはできますがそれ以外は人と同じです｣



仮面の人の説明をぼぅとして聞く



クロ｢初めは戸惑うことも多いでしょうが皆が助けてくれます｣



皆って誰のことだろう


クロ｢貴方はとても愛されてますから｣



『………愛……？』



ぽつりと呟くと仮面の人が目を見開き今度は優しい声でええと答えた




クロ｢監督生くんも寮長達もクラスメイトも教師でさえも貴方の魅力に惹かれています｣



監督生……



『…………ユウ……さん？』



仮面の人は嬉しそうに頷く




クロ｢ええ。早く貴方に会いたいと言ってました。｣



会う……



『………会えない』



クロ｢会えない？どうしてですか？｣



『…………ユウさん……に…酷いこと………』



そう……私は…ユウさんの鏡を……



そう、そうだ。


どうして、忘れていたんだろう。




『わたし、私。謝らないと、ユウさんに謝らないといけないことがあるんです！』




涙が頬を伝う。



こんな所でぼーとしてる場合じゃない私にはやらないといけないことが、謝らないといけないことがある




クロ｢ええ、だから"帰りましょう"貴方の居場所に｣

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