Foever Bad Halloween【浦島坂田船】 (ページ4)

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何故玄関口に向かっているのかも分からなければ、これからどうしたらいいのかも、何をすべきなのかも分からない。

今すぐ電話を取って警察に連絡する？私も一緒になって死んでしまう？犯人を追ってみる？外に出て助けを求める？金品が盗まれていないか確認する？自分の身の安全を確保する？何か証拠が無いか調べてみる？どうすればいい？何をすればいい？何をすべき？何を言うべき？どうすれば？どうすれば？どうすれば？どうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうすればどうす

───コン、コン、コン。コン、コン。

「ぁ…う、ぁ」

玄関の扉をノックする音が聞こえた。
冷静な判断が出来ない頭と、どう行動すべきか分からない身体では、何もすることが出来ない。
ただ情けない声を上げてカチカチと奥歯を擦り合わせて震えることしかできない。

殺される。
きっと、殺される。

殺されたらどうなる？痛い？
痛くて、苦しんで、涙を流して、耳が聞こえなくなって、言葉も出なくなって、そうして不恰好に死んで行く？
そんなの嫌だ。最後までオリヴィア家の娘として誇り高く生きて居たい。

血筋なんか関係なくとも、ただ普通に生きて居たい。まだやりたいことはある。

この私の家庭を壊した犯人に。
パパを殺した犯人に。
ママを殺した犯人に。
コックを殺した犯人に。
庭師を殺した犯人に。
メイドを殺した犯人に。
執事を殺した犯人に。
ハロウィーンを台無しにした犯人に。
オリヴィア家を貶した犯人に。
国王のルーク(・・・・・・)を踏み躙った犯人に。

復讐してやりたい。

私がこの手で殺してやりたい。

生きて、絶対にこの手で殺してやる。

そう考えてしまえば、一気に頭はクリアになって行く。
パパは私にいつでも冷静に物事を判断しなさいと言った。
ママは私にいつでも聡明で気高くありなさいと言った。

元々観察力があり、頭の回転は早い方だと両親が言っていた。それならば、今扉の向こうでノックをしているのが犯人ではないと推察できる。

犯人は家の鍵が開いていることを知っているのにわざわざノックをするだろうか。ハロウィーンという事もあり、犯行がバレるかもしれない瀬戸際でノックなどするだろうか。

答えは明白。きっと騒ぎを聞き付けて近隣の人が通報したのだ。きっと警察だ。

私は扉を開いた。