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花魁なんてものに全くと言っていい程に興味のない私は、浦島坂田船花魁がどんな動作をしようが全く目もくれなかった。
ただ、三味線を自分で演奏していることが楽しくて仕方がない。
それぞれの花が咲き、遊女が演奏を繰り広げる。
夜の中、ぼうっと鈍い灯りが辺りを照らして優美な空気を流してくれる。
｢鬼が出たァッ！！裏の方だァ！｣
ピシリ、と空気が一変するのが分かる。
静かで、優雅だったものが一気に張り詰めて、危機感のあるものへと変わる。
例外の場合は仕方がない。
声を出しても別に良いだろう。掟が何だと言うのだ。人の命を捨ててまで守っていないといけない掟があってたまるものか。
｢遊女全員に告ぐ！！全員、花魁と一般市民の安全を最優先に行動せよ！悪鬼殲滅部隊、隊長として恥じぬ行動を！｣
私の声に遊女が一斉に帯を緩めて、素早く短刀や脇差、あらかじめ置いてあった打刀や太刀を手に取る。
遊女たちは花魁を囲むようにして刀を構え、たまたま近くにいて、刀を持ち合わせていた
きっと、鬼はさして多い数は居ないはずだ。
私一人で倒せる数の筈。
動きにくい服装で必死に走って、鬼が出たであろう場所まで走ろうとした。
走ろうとした所で、姫蘭花魁に腕を掴まれて、こっそりと耳打ちをされる。
｢俺の名前、折原千羅。夢現のこの街、守っておくんなまし｣
挑発的な、艶やかな笑みと廓言葉。
それに私は頷き、走り出す。
花魁たちが居る所から大して離れていない場所に鬼は居た。
数は五体。
たったそれだけ。
｢…主らは悪鬼でありんしょう？｣
｢汚らしい人間が口を開くな｣
｢分かりんした。なら、遠慮なく斬らせて頂きんす｣
すっと、静かに抜刀をする。
｢人間、我らの話を聞かぬか｣
｢聞きんせん。主らは黙りなんし｣
女体二体に、男体三体。
姿形は人間であるが、頭から生えた角、口から伸びた牙。
人間を自分の欲の為に殺してきた証拠の黒い瞳孔に、赤い眼光。
｢人間はやはり汚らわしいわ。殺してあげる｣
｢………ならば、こちらも本気で殺しんしょう。夢現の花街、命に代えても守って見せんしょう。さぁ！さぁ！手を鳴らせ！｣
顔を覆っていた白い布を外し、不敵な笑みを浮かべる。
そして、刀の切っ先を悪鬼に向ける。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - この作品好きです！続き楽しみに待ってます！ (2022年3月9日 2時) (
レス) @page40 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
露(プロフ) - すごく好きです…いままでこういう系統の作品や生々しい部分に触れるものは読んでこなかったんですけど、設定や世界観がすごく凝っていて引き込まれてしまいました…！更新、楽しみにしています！ (2022年2月19日 9時) (レス) id: ecc7bc2fb7 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 緋鞠さん» 廓言葉褒めて貰えて嬉しいです（；；）本当に有難いです（；；）めちゃめちゃ嬉しいです本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 呉羽さん» コメントありがとうございます。更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - ルイさん» 世界観に拘ったのでそう言ってくださって凄くうれしいです、ありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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