漆.桜の花は甘味にて華やぐ ページ27
隊員の言葉に甘えて街を歩く。
街を歩くのは久しぶりのことだったし、何だか普通の女子高生になったような気がして嬉しいものだ。
だけれど、やはりどうしても気になってしまうのが周りからの視線だった。
私だってまだまだ十七と言う年齢であるのに、こうして沢山の人間の命を背負っていることが明らかに違っている。
私の二倍も三倍も───私よりも長く長く生きている人間だっているのに、結局私が一番上に立って、誰よりも多くの命を護らなければいけないのだ。
たった十七年間しか生きて居なくとも、他の人とは明らかに濃い人生を送って来たと思う。
やがて、普通の道を歩き進ん行けばそこは和の街並みに変わって行く。
そうして近付いてくるのが遊郭ではあるが、今日は遊郭に入る用事もないので、日本街の甘味処へと立ち寄る。
赤い暖簾の掛かっている店内へと入り、椅子に腰かける。
琴や尺八の音色が混じり会った音楽が流れており、ゆったりとした時間が過ごせそうになっていた。
一人でゆったりとした時間を過ごしたいと思っていたために丁度良く、客は誰も見えないようだ。
｢あらあら、黒蝶隊長さん、こんな所にいらっしゃるなんて珍しい｣
｢甘い物が好きでいんして。おすすめの甘味を数点頂いてもよろしいかぇ？｣
｢えぇもちろん。隊長さんのお願いとあらばとびきりのものを用意しましょうねぇ｣
店主は五十代と言った所だろうか。
もしも私の母親が生きていたらこんな感じなのかなぁ…なんて思いながら店の奥に引っ込んで行った店主の背中を眺めていた。
きっと、女子高生なんかがここに来たらスマホを取り出して色々な投稿を見たり、ゲームをしたりして待つのだろうけれど、私がスマホを取り出してすることは悪鬼についての情報が入っていないか、また他の隊からの情報を集めてこれからに活かそう、と仕事をすることだった。
きっと、私の隊員が言っていたのは、たまには仕事から離れて甘味処にでも行ってみればいいと言うことだったのだろうけれど、その仕事と切っても切り離せない生活が私のプライベートなので無理な話だった。
気を遣ってくれた隊員には申し訳ないけれど、これが私の私生活なので別段こうして仕事をすることに疲労を感じることはない。
｢あっ、あんドーナツとカステラ…！｣
店主におすすめのもの、なんて頼んでおきながらメニュー表を見ていると私の大好物が二つあることに気付いた。
｢すみませーん！あんドーナツとカステラ二つ！｣
どこからともなく聞こえた声に、私はビックリしてそちらを見やった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - この作品好きです！続き楽しみに待ってます！ (2022年3月9日 2時) (
レス) @page40 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
露(プロフ) - すごく好きです…いままでこういう系統の作品や生々しい部分に触れるものは読んでこなかったんですけど、設定や世界観がすごく凝っていて引き込まれてしまいました…！更新、楽しみにしています！ (2022年2月19日 9時) (レス) id: ecc7bc2fb7 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 緋鞠さん» 廓言葉褒めて貰えて嬉しいです（；；）本当に有難いです（；；）めちゃめちゃ嬉しいです本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 呉羽さん» コメントありがとうございます。更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - ルイさん» 世界観に拘ったのでそう言ってくださって凄くうれしいです、ありがとうございます！ (2020年4月5日 1時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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