バイトしてたら推しと出会っただけですが？【赤】

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Aside

白い厚紙に赤いペンを走らせる

そろそろポップを入れ替える時期だから
莉犬くんのポップも新しいものに変えないと

私がバイトをするのは大手CDショップ


理由は簡単

ワンチャン推しが来ないかなっていう下心と期待
まぁ、サインとかは郵送で来るからそんな期待も虚しく散ってるんだけど

それでも、少しでも推しの力になればと思って
莉犬くんのポップには力を入れてる

他のメンバーさんはすごい申し訳ないことにそこそこだけど…


「石動さーん、今時間ある？」


休憩室でポップをつくっていた私に店長が声をかける

え、店長が？
シフトのことかな…？


『大丈夫ですけど、何かありましたか？』
「石動さんと話したいって人が来てね」


どこか含みのある笑顔を浮かべる店長
なんだなんだ

ちょっと怖い

少しビビりながらエプロンの紐を結び直す


『その方、どちらに？』
「あ、いいのね
だったら今お呼びするから待ってね」


わざわざ来てくれるのか…
にしても、バイト先に会いに来るって誰…？

ポップのラミネート加工でもして待つか

散乱させていたペンやら何やらの筆記用具を片付ける
やたら赤が多い私の荷物

莉犬くんを推しはじめてからずっとこんな調子だ


「石動さん」
『今いきます』


赤いペンケースをリュックにツッコんで
休憩室の外に出る

そこにいたのは、あったことのない小柄な人


？「ねぇ、俺のポップ作ってくれたの君！？」


いやに聞き覚えのある大好きな声

目の前にいるその人と、私の推しが頭の中でつながるまでにそう時間はかからなかった


『り、いぬくん…？』


目の前の推しは、満足そうな笑みを浮かべた

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